兵庫県知事選
6月15日告示 7月2日投開票
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訴えに耳を傾ける有権者。「当選回数」は投票先を決める理由になるか=加古川市内
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訴えに耳を傾ける有権者。「当選回数」は投票先を決める理由になるか=加古川市内

 -今回の兵庫県知事選の争点って何?

 「各候補者の訴えを聞くと、一つは『多選』だろうね」

 -どういう意味?

 「知事や市長、町長ら首長が、選挙で何回も当選を重ねることを言うんだ。知事でこれまで最も当選回数が多かった例では、奈良県と石川県で8回当選した知事がいた。次は京都府の7回。知事の任期は当選1回(1期)で通常4年だから、いずれの知事も在任日数は1万日を超えたんだ。兵庫県では、4期が最長。今いる全国の知事で長いのは、茨城県と石川県で6期。茨城県知事は、8月27日に投開票される知事選に7期を目指し立候補するそうだよ」

 -なぜ、多選が争点になるの?

 「会社や団体など組織でも、同じ人が長い間リーダーを続けると権力が集中する。周囲の人が注意できなくなることで、独裁や特定の人たちとの癒着などを招くのではないかと言われている。会社だと人事異動で数年おきに交代するよね」

 「首相が偉いといっても、官僚の全ての人事に口出しできるわけじゃない。でも知事や市長は直接、予算や人事を指示できるため、その権限はアメリカの大統領に近いともいわれるほどなんだよ」

 -具体的に、問題になったのかな。

 「2006年に5期18年務めた福島県知事が県発注のダム工事に絡んでわいろを受け取った事件があった。岐阜県でも同じころ、県庁で多額の裏金があったことが見つかり、4期16年務めた知事が責任を問われた。それぞれ『多選』が背景にあると指摘された」

 -でも長くやっていると、いろんな政策に詳しくなるのでは。

 「長年解決できなかった課題や意見が分かれる問題などにも、しっかり取り組むことができるかもしれない。安定感もある。短期間でトップが代わるごとに、ころころと方針が変わると、県庁で働く人たちや市や町も戸惑うかもしれない。知事の場合は、国や他の都道府県の人たちにも顔が知られるようになって、交渉がしやすくなるメリットも期待できるかな」

 -多選って、何回くらい当選した場合に言うの?

 「明確な基準はないけれど、『多選自粛条例』という独自の決まりをつくる自治体もあるよ。03年に、東京都杉並区で制定されたのが最初と言われているね。その後、首長の汚職事件が相次いだことで、各地で条例ができた。当選回数に制限をかけることで、首長が力を持ちすぎないようにするのが狙いなんだ。3期12年までとする条例が多いけど、努力規定といって4期以上の立候補も『禁止』とまではしていないんだ」

 -法律では?

 「具体的な条件をつけて、特定の人が選挙に出ることができないようにするのは、憲法で規定されている『職業選択の自由』や『参政権』と矛盾するとの見方もある。選挙で有権者が選んだ人を、『当選回数を重ねすぎている』という理由で選挙に出ることができないようにするのは、民主主義を否定することになりかねない。在任期間で善しあしを判断することが正しいのかという意見もある」

 「例えば、国会議員は当選を重ねることで大臣になれたり、県議だと議長になれたりと、大きな役割を果たせるようになる。当選回数が多いということは、有権者から支持を受け続けている証しでもあるんだ」

 -判断が難しいね。

 「最近、新聞やテレビで『忖度(そんたく)』って言葉が出てくるでしょ。本来は、相手のことを推し量るという意味だけど、絶対的な力を長期間1人で持つと、周囲はどうしてもその人の顔色を気にしすぎる。本人が思っている以上に、周囲は気を使っている。よほど気を付けないと、腐敗を招く環境になる恐れは否定できない」

 「多選が良いか、悪いかだけではなく、兵庫県にはいろんな課題がある。選挙期間中は、課題をどう乗り越え、解決していくのかを有権者に示し、約束する大切な場。最終的には、有権者一人一人が、候補者の政策や人柄なんかを見比べて、誰が知事にふさわしいのかを選ぶことになるね」

(段 貴則)

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