兵庫県知事選
6月15日告示 7月2日投開票
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「5選当確」の報を受け、事務所前で報道各社の取材に応じる井戸敏三氏。多選の弊害を問う質問に険しい表情を見せる=2日夜、神戸市中央区(撮影・大山伸一郎)
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「5選当確」の報を受け、事務所前で報道各社の取材に応じる井戸敏三氏。多選の弊害を問う質問に険しい表情を見せる=2日夜、神戸市中央区(撮影・大山伸一郎)

 兵庫県知事選が投開票を迎えた2日夜。当選確実の報を受けた現職井戸敏三(71)の事務所は、早々と5選を決めた喜びと安堵(あんど)に、緊張感が交じった独特の空気に包まれた。

 「状況はよく分かりませんでしたが、厳しい戦いと言われてきました」。井戸が発したのはどこか、ひとごとのような言葉だった。

 これが火を付けたのか、続いてマイクを握った自民党県連会長の衆院議員谷公一は「(井戸の選挙で)一番厳しかったのは間違いない。候補者は『よく分からない』と言いましたが…」と強調。「“最後”の4年間、未来のため、子どもたちのためにやってほしい」と注文した。

 これが最後-。「暗黙の了解」をあえて突き付けるような一言に周囲から苦笑も漏れたが、こうした温度差は選挙中から見え隠れしてきた。

 27年ぶりの4人の争い。中でも、コラムニストの新人勝谷誠彦(まさひこ)(56)が激しい多選批判を繰り広げたことで、井戸を支援する各政党の県議らは、支援者離れを食い止める「守りの戦い」を強いられた。

 だが、井戸は集会などで「実感はないが厳しいらしい」「どういう意図で多選批判されるのか理解できない」と言ってはばからず、危機感を募らせる各党関係者の感情を逆なでした。当確後の記者会見でも多選の弊害を問われ、「(在任期数を)足し算で批判すべきではない」と反論した。

        □  ■

 井戸の事務所前に万歳の声が響いたころ。東京・永田町の自民党都連本部は静まり返っていた。

 「非常に厳しい」。都議選で議席の大幅減が伝わると、都連会長の衆院議員下村博文が苦渋の色を浮かべた。

 首相安倍晋三の友人が理事長の加計(かけ)学園を巡る疑惑、秘書への暴言で離党届を出した衆院議員豊田真由子の騒動、都議選応援での防衛相稲田朋美の失言…。下村自身も加計学園側に政治献金を取りまとめてもらっていたことが判明。都議選と前後して噴き出した数々の問題が響き、5年前の衆院選から大型選挙で連勝してきた安倍の「不敗神話」が崩れた瞬間だった。

 自民は過去最低の議席に落ち込み、翌3日朝の新聞には「安倍1強 おごりの代償」の見出しが躍った。

        □  ■

 「組織を引き締めなければ負けていた」「知事にはもっと感謝されていい」

 知事選から一夜明けた3日。都議選の惨敗によるピリピリした空気も波及してか、兵庫の自民党議員からはこんな声が漏れた。

 こうした反応と呼応するするように同日の当選インタビューでは前夜から一転、井戸が反省を口にした。

 「(在任期間が)長過ぎるという指摘に対し、県民にもう少ししっかり説明できればよかった」「いい警鐘になった。かなり得票率を落としたわけですから」

 今回の得票率51・2%は計19回の知事選で最低を記録。「次の後継候補こそ議会主導で決めなければ」と話す与党県議も出てきた。

 “前人未到”の5選で、県政の継続性を守った井戸。だが、ここから先は、求心力の低下と背中合わせの前例なき挑戦でもある。

        ◆

 県政史上初となる現職の5選で幕を閉じた知事選。戦いの後に開けた新しい光景を追う。=敬称略=(黒田勝俊)

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