神戸新聞NEXT

 プロオーケストラ「神戸市室内管弦楽団」を運営する神戸市民文化振興財団が、楽団を存続させる方向での改革案を公表した。市が2027年度末で補助金を打ち切る方針を示し、一時は解散も検討されたが、入場料収入の拡大や組織改編などで収支改善を図り、補助金の依存率を半減させるという。

 財団は今後、市側と協議する。市が財団の意向を受け入れて補助金支出を継続させるのか。また、楽団が存続するとなった場合、財団は実効性のある改革を進めていけるのか。注視したい。

 市はこれまで、楽団に毎年8千万円を超える補助金を支出してきた。だが今年3月、その廃止方針が明らかになった。市側は定期演奏会の来場者が平均500人台にとどまり、収入の中で補助金が7割を占める点などを問題視していた。

 改革案では、チケットの値上げや楽団員報酬の歩合制導入、事務局体制の見直し、民間支援の確保などにより、補助金依存率を他政令市並みとされる4割程度にするという。また、まちかどコンサートや学校での演奏を増やし、親しみやすい演奏企画を取り入れるほか、音楽監督を置く運営体制も変更するとした。

 財団は新たなファンと支援を獲得する具体的方法やプログラム編成の考え方、そして運営の指針となる楽団の理念なども明確にしてほしい。

 こうした出直しが迫られた一因には、知名度の低さがある。楽団の演奏は専門家から高い評価を受けてきた。だが市の調査によると、問題発覚前から楽団を知っていた人は3割に満たず、有料公演に行った人は1割だった。40年以上の活動歴を考えれば、努力不足は否めない。

 改革に向けて最も重要なのは市民の要望を満たせるかどうかだ。今年5、6月の定期演奏会は、神戸文化ホールの大ホールを埋める約1700人が聴いた。問題への関心が集客につながった面もあろうが、質の高い音楽を求める市民が少なくないことも改めて示した。値上げしてもこの客数を維持できるかが問われる。

 地域密着など分かりやすい理念を掲げ、市民の誇りとなっているまちの楽団は他都市にもある。楽団が神戸に欠かせない存在となるには、市民からの厳しい声にも真摯(しんし)に耳を傾けねばならない。文化はなくすのは容易だが再び育てるのは難しい。楽団を創設した市も補助金額の見直しだけでなく、財団とともに責任を持って楽団の可能性を模索すべきだ。

 神戸には28年に新しい大ホールができる。楽団の改革の行方とともに、神戸の文化行政そのものに注目が集まる。市民が主体となる幅広い議論を続けていきたい。