エッセー・評論

遠慮深いうたた寝

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次なる狙いは…(撮影・三浦拓也)

次なる狙いは…(撮影・三浦拓也)

 モノレールの浜松町駅で、切符をなくした。470円の切符を買い、羽田空港の改札を通ったのは間違いないはずだが、降りようとするとなぜか、どこにも見当たらない。洋服のポケットに手を突っ込み、ハンドバッグを引っ掻(か)き回し、財布から化粧ポーチまで覗(のぞ)いてみる。混雑する改札口で立ち止まり、焦ってごそごそやっている私の姿は、誰が見ても、切符をなくした鈍くさいおばさんだろう。通り過ぎる若者たちは、「ああゆう恥ずかしい中高年にはなりたくない」と、つぶやいているはずだ。現代の若者は最早(もはや)切符など買わず、全部カードなのか? いや、今は人目を気にしている場合ではない。とにかく切符だ。それがなければここを出られないではないか。

 ほんの20分ほど、大人しくモノレールに乗っていただけなのに、切符はどこへ消えたのか。不思議だ。時折、駅の構内に落ちている切符を見掛けることがあるが、たいていそれらは大勢に踏みつけられ、ぐったりとして打ちひしがれている。交番や拾得物預かり所に届けられる落とし物たちに比べ、持ち主の手を離れた切符はぞんざいな扱いを受けている。無事、持ち主のもとに戻れる可能性はあまりにも低い。

2013/7/6

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