7歳当時のShaunaさん/ Shaunaさん(@23s__na4)提供
7歳当時のShaunaさん/ Shaunaさん(@23s__na4)提供

「こんな外見に生まれなければよかった」。--かつてそう語った少女が、14年後、モデルとして活動しながら自身の"生きづらさ"と向き合った投稿が話題になっています。日本とアイルランドのハーフとして地方で育ったShauna(@23s__na4)さんが、「7歳のきみへ。14年の時を経て、この世界は、きみの生きたあの頃よりも、ほんのちょっとだけ生きやすくなった気がするよ」というメッセージをThreadsに投稿し、反響を呼んでいます。

 投稿に寄せられたコメントには「可愛い 今も昔も天使みたいです」「こんなに美しい天使がいるんですね」といった温かい言葉が寄せられています。

■7歳の頃の記憶と、地方での"生きづらさ"

Shaunaさんは佐賀県出身で、2023年の春に大学進学を機に上京しました。現在21歳の彼女が振り返る7歳の頃は、のどかな子ども時代でした。

「7歳の頃は外でブランコに乗ったりして遊ぶことや、絵を描くことがとても好きだった記憶があります。人と話すことはあまり得意ではなく、一人で何かに集中することが好きな子どもだったと思います」(Shaunaさん)

しかし、日本とアイルランドのハーフである Shaunaさんにとって、地方での学校生活は決して容易なものではありませんでした。

「私は日本とアイルランドのハーフで、肌にそばかすがあり、青い瞳をしています。出身が地方ということもあり、大学で上京するまでの日常や学校生活の中では、外見に起因する『生きづらさ』を感じる場面が多くありました」(Shaunaさん)

その生きづらさは、同級生からの心ない言葉や視線として現れていました。

「小中学生の頃は、『真っ白ブツブツ』『外人』といった心ない言葉を投げかけられたり、視線や態度からくる疎外感に悩んだりもしました。外に出ること自体が好きだったのに、中学生になるとそうした視線の痛みによって、外出を避けるようになっていきました」(Shaunaさん)

こうした辛い体験の背景には、当時の地方での環境がありました。

「当時、白人の血を引くハーフの子が地方にいることは珍しく、"目立ってしまう"ことに戸惑いを感じていました。私自身も周囲とは違う存在だという感覚を強く持っていたと思います」(Shaunaさん)

■小学生で抱いたモデルへの憧れ、中学で消えかけた夢

そんな中でも、幼いShaunaさんの心には将来への憧れがありました。

「小学生の頃に読んだファッション誌に憧れて、モデルという仕事に強く惹かれるようになりました。でも、中学生になると外見に対する悩みが大きくなり、その夢はいつのまにか自分の中で消えかけていました」(Shaunaさん)

彼女は母親に苦しい胸の内をぶつけてしまったことがあります。「中学生の頃、母に『こんな外見に生まれなければよかった』と言ってしまったことがあります」(Shaunaさん)

それほどShaunaさんの中学生時代は生きづらいものでした。「中学時代が本当に息苦しかったからこそ、『私のことを誰も知らない場所で新しく生き直したい』と思うようになったのです。」(Shaunaさん)

一人でいる時間が多かった小中学生時代、Shaunaさんは「堂々とすること」「自分らしく生きること」という言葉を自分に言い聞かせながら、何とか心のバランスを保っていたのです。

■高校で出会った仲間、そして東京への夢

転機が訪れたのは高校時代でした。中学校生活で感じた”私のことを誰も知らない場所で新しく生き直したい”という想いを胸に、Shaunaさんは地元から少し離れた高校への進学を決めました。

「高校では大切な仲間たちに出会い、自分の夢や将来について深く考えるようになりました。悩みはあったものの、彼らの存在が、私に"自信を持つ"ことや、"他人に左右されずに生きる"ことの大切さを教えてくれました」(Shaunaさん)

「そういった日々の中で、『高校を卒業したら東京に行きたい』という夢が生まれました。」(Shaunaさん)

■東京で見つけた居場所、モデル活動のスタート

「その思いを胸に受験に挑み、東京での生活が始まりました。実際に東京に来てみると、そこは想像以上に自由で、多様性が自然に受け入れられている場所でした。地方では『違い』として浮いてしまっていた私の存在も、この街では『個性』として見てもらえる。それが当たり前に認識されている環境に触れ、過去の自分を振り返る中で、『ここに私の居場所があるんだ』と心から思えるようになりました」(Shaunaさん)

高校時代に再燃したモデルへの憧れが、上京後に現実のものとなったのは、通学中の偶然の出会いからでした。

「その頃から『服が好き』『自分で作った服を自分で着て表現したい』『モデルをやってみたい』という気持ちが、また心の奥から湧き上がってきました」(Shaunaさん)

「そんなある日、通学中の電車の中で、ある女性に声をかけられ名刺をもらいました。その方はフォトグラファーで、撮影に誘われたのがモデル活動のきっかけでした。最初は興味本位で行った撮影でしたが、それをきっかけにSNSを本格的に始めたことが次第にお仕事へとつながっていきました」(Shaunaさん)

「上京してすぐの頃は、大学に通いながらモデルの仕事をしていました。どちらも初めての経験で戸惑いも多かったですが、撮影のたびにいただく『またよろしくお願いします』という言葉に何度も救われてきました」(Shaunaさん)

■東京で感じた価値観の変化

東京での生活は、Shaunaさんにとって大きな変化をもたらしました。

「東京に来て強く感じたのは、コンプレックスだと思っていた部分に対して、周囲の人たちが否定ではなく"感想"として接してくれることでした。『それがいいんじゃない?』『素敵だよ』--そんな言葉を、東京では日常的に耳にするようになりました。ファッションにしても、生まれ持った容姿にしても、『違い』ではなく『個性』として捉えられる価値観の広さがある」(Shaunaさん)

「その事実に、これまで流した涙とはまったく違う意味の涙を流したこともあります。コンプレックスだった部分が、少しずつ『私らしさ』へと変わっていく。その過程が、今の私をかたちづくっています」(Shaunaさん)

■表現活動の原点は学生時代に

実は、現在のShaunaさんの表現活動の原点は、学生時代にさかのぼります。

「高校生の頃から、自分の悩みや疑問をパソコンに打ち込むようになりました。最初はただ感情を整理するためでしたが、いつのまにか文章を書くことそのものが好きになり、小説やエッセイを書くことに夢中になっていきました。

今現在のモデルなどの活動も、私にとっては過去の自分を肯定し、表現するための方法の一つです。中学生の頃に母に言ってしまった『こんな外見に生まれなければよかった』という言葉を後悔しています。本当はその後悔を、私は今『こうしてありのままの自分を表現する』ことで乗り越えようとしているのかもしれません。

自分のことを好きでなければ、自分を表現することはできない。だからこそ、今こうしてメディアに出たり、自分を発信したりすることは、母への感謝や愛のかたちでもあるのです」(Shaunaさん)

■「自分を否定しないで」-- 込められたメッセージ

SNSで発信を続ける Shaunaさんが特に伝えたいのは、「自分の感じたことを否定しないでほしい」というメッセージだと言います。

「人が抱える悩みは、その人にしか分かりません。誰かから見れば『楽に生きているように見える』かもしれないし、『気にしすぎ』と言われることもあるかもしれません。でも、その一瞬一瞬を経験し、乗り越えようとしてきたのは、その人自身です。だからこそ、自分の感じたことだけは、どうか否定しないでほしい。

今悩んでいる人たちが、自分にとっての『生きやすい場所』を見つけてくれたら嬉しいし、『自分はこれでいいんだ』と思えるようなきっかけになれたらいい。そんな思いを込めて、私はSNSでの発信を続けています」(Shaunaさん)

また、SNS上で飛び交うさまざまな意見について、「以前取材を受けた際にも、コメント欄にはいろんな声が寄せられました。賛同や共感だけでなく、批判や否定もネット上ではよく目にします」と話します。

「でも、どうかそんな言葉に屈しないでほしい。あなたが感じたこと、選んできた生き方は、あなたにしか分からないものです。誰にも、それを否定する権利はありません。たとえ時には目を背けたくなることがあっても、自分の人生や幸せのあり方からだけは、目を背けないでほしい。その気持ちを、私はこれからも発信し続けていきたいと思っています」(Shaunaさん)