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 阪神大震災の傷跡を伝えるシンボルとなってきた神戸市長田区若松町の「神戸の壁」が、津名郡津名町に移設され、永久保存されることが九日、明らかになった。空襲と大震災の二つの大火に耐えた壁は、被災の語り部として生き続ける。

 壁は高さ七メートル、幅十五メートル。一九二七年に市場の防火壁として建造された。だが、西側に住んでいた所有者の山下浅吉さん=当時(84)、としゑさん=同(80)=夫妻は、震災で自宅が焼けて死亡した。

 親族らは、芸術好きだった浅吉さんの追悼の意味も込め、壁前の更地を文化発表の場として開放。さらに同市垂水区の現代芸術家、三原泰治さん(60)らが保存実行委員会を結成、神戸市へ永久保存を求めていた。

 しかし「公費保存は無理」と同市。地元も保存費用の負担などで意見が分かれ、実行委は「神戸で無理なら他地域ででも」と、知人を通じ津名町と交渉を始めたという。

 移転先は、津名町が建設し、二〇〇〇年一月十七日に完成予定の町立津名現代美術館(仮称)。震源に近い淡路島で、震災を後世まで語り継ぐことを趣旨に建設され、壁は館の正面壁面として利用される予定。

 「新たな出発を記念して、地元で最後のイベントを考えたい」と実行委の三原代表。撤去、移設の時期は未定。費用はすべて津名町が持つという。

1998/3/10
 

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