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 阪神大震災で神戸市兵庫区内のホテルの一部分が倒壊し、死亡した宿泊客二人の遺族が、ホテル経営会社「アイネシステム」(東京都千代田区)を相手取り、「建物構造に危険性があった」として総額約一億六千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が十六日、神戸地裁であった。橋詰均裁判官は「ホテルの増築部分には地震に耐える強度がなく、工事に欠陥が認められる」として、ホテル側に計約一億百万円の支払いを命じた。原告側によると、阪神大震災の建物倒壊による死亡をめぐる訴訟では、一般の倒壊マンションでの圧死を含め、損害賠償を認めた判決は初めてという。

 亡くなったのは神戸市垂水区の無職男性=当時(24)=と神戸市兵庫区の会社員女性=同(21)=。二人は九五年一月十六日から「ホテル神戸アイネ」(七階建て)の四階に宿泊。震災ではその部分の四階以上だけが崩落し、死亡した。同ホテルでの犠牲者は二人以外におらず、双方の両親が九六年五月に提訴した。

 判決文などによると、同ホテルは鉄筋七階建てで六四年に建設。六九年、東棟と西棟の二つの建物のすき間を埋めるような増築が行われ、倒壊したのはその部分だった。

 橋詰裁判官は「増築部分は地震で異なる揺れ方をする二棟に接合され、地震の力が集中する構造。倒壊部分には通常要求される建物の強度がなかった」と欠陥を認めた。また、「倒壊は地震による不可抗力」とするホテル側の反論も、「ホテル本体や周辺の古い木造家屋が倒壊していない」として退けられた。

 原告の一人で、亡くなった男性の父親(55)は「判決には満足しており、うれしい。震災後、現場に行ったが、こんな建物で死亡したのでは納得できないと思った」と話している。

 ホテル側は「判決については厳粛に受け止めており、判決通り速やかに償いたい。控訴は考えていない」とコメントしている。

 同様の震災被害に関しては、神戸地裁で、神戸市東灘区内の倒壊した賃貸マンションで圧死した四人の遺族らが、マンション所有者などを相手取り、損害賠償を求めた訴訟が係争中。

1998/6/17
 

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