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阪神大震災の被災地に建てられた慰霊碑や地蔵などを訪ね、鎮魂の思いや震災の体験を語り合ってもらおうと、被災地の市民らが来年一月十七日、「震災モニュメントマップ」を発行する。十万部を作成予定で、個人や企業からの募金を呼び掛けている。
今年九月、神戸市長田区のアマチュア写真家、徳永竜二郎さん(66)が被災地の慰霊碑を撮影した写真展を同市内で開いたのをきっかけに、ボランティア団体「がんばろう!神戸」(神戸市北区)の堀内正美さん(48)が地図づくりを提案。「阪神・淡路復興委員会」の委員長を務めた下河辺淳さんや作家の陳舜臣さんら十八人で、「震災モニュメントマップ作成委員会」を結成した。
地図で取り上げるモニュメントは、神戸、阪神、淡路の五十四カ所。徳永さんが写真展で紹介した三十三カ所に加え、委員会のメンバーらが情報を集めた。校庭や寺、公園など建立場所はさまざまで、設置者も、学校の卒業生やPTA、自治会、行政、避難生活を共にしたグループなど幅広い。
地図はB3判で、裏面に作成の趣旨を印刷。神戸・三宮のフェニックスプラザなどで一月十七日以降、配布する。神戸観光タクシー協議会などの協力を得て、運転手が地図を手渡しながら観光客に震災の教訓を伝える試みも検討している。将来は、モニュメントの案内板の設置も予定している。
堀内さんは「一月十七日だけを”記念日”とするのでなく、モニュメントに込められた思いやあの日の体験を日常的に語り継いでいくきっかけとして、マップを役立ててほしい」と話している。
発行費用の約五百万円はすべて募金でまかなう予定で、企業・団体に一口五万円、個人に一口千円の協力を呼び掛けている。
1998/12/16