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 阪神・淡路大震災後、兵庫県外に移った被災者のうち、百十六人(昨年十二月末現在)が県内に戻りたいと望み、公営住宅の募集情報などを伝える兵庫県の連絡制度に登録している。過去八年間に登録していた人の六割以上が兵庫県に戻ることを断念し、十四年が過ぎようという現在も、住み慣れた地での安住を望む人たちの願いがかなわずにいる。

 震災による県外移住者数について、県は一九九五年の転出者数から九〇-九四年の平均転出者数を引いた約五万四千七百人(約一万九千世帯)と推計している。

 県は九八年、県内に戻ることを希望する人たちに登録してもらい、支援する制度を始めた。情報誌の発行や専用ダイヤルでの相談対応といった事業は終了したが、登録者に定期的に連絡を取る「カムバックコール&メール事業」を続けている。

 登録者は九九年四月の千五百七十六人をピークに減少。二〇〇〇年七月時点で九百六十八人の登録があったが、その後、県内に戻ることができたのは二百五十一人(25・9%)だった。

 一方、三百三人(31・3%)は県外での永住を決意、十一人(1・1%)は亡くなるなどし、消息不明も含め六百一人(62・1%)が戻れないまま、登録を消した。

 登録を続けている百十六人の居住地は大阪府四十七人、京都府九人、岡山県五人など。六十-七十代が67%を占める。戻ることができない理由は、希望の住宅がない(30%)▽仕事や子どもの学校(20%)▽高齢・病気(14%)-などだった。

 年四回のペースで「電話訪問」を続けている県非常勤嘱託職員の岡部育子さん(68)は「ついのすみかにしたいという人も多く、強いこだわりを感じる。病気や高齢化で不安になっている人もいるので、少しでも力になりたい」と話す。

 この登録事業は来年度で終了予定の「阪神・淡路大震災復興基金」事業だが、井戸敏三知事は基金の継続を検討する考えを明らかにしている。(森本尚樹)

2009/1/13
 

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