記事特集
阪神・淡路大震災で亡くなった人を悼む慰霊碑などの所在地を紹介した「震災モニュメントマップ」が十七日、最初の発行から丸十年を迎える。当時の五十五カ所から、現在は二百八十五カ所に拡大。しかし、建立の由来が書かれたものは少なく、住民の入れ替わりが進んだため地元でも存在さえ知らない人が増えているという。関係者は風化を防ごうと、慰霊碑の説明文の追加、最新版マップの電子化など新たな取り組みに乗り出した。(石崎勝伸)
モニュメントには、焼け残った樹木、地震発生時刻に止まった時計などもあり、被災経験を今に伝える。マップは被災地の市民や企業、行政関係者らの作成委員会が一九九九年、初版を発行。遺族らでつくるNPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯(あか)り」が、所在地の調査を引き継ぐ。
昨年、新たに三カ所で確認され、計二百八十五カ所に。兵庫をはじめ全国で五府県、海外では中国にある。
うち二百六人が亡くなった神戸市東灘区の魚崎地区では昨年、地元児童と教師が震災慰霊碑と間違え、近くの戦死者の忠魂碑を訪ねたという。地域団体でつくる魚崎町協議会は危機感を募らせ、十七日までに慰霊碑建立までの経過を説明した石碑を新設する。
同法人理事長で、父親を亡くした上西勇さん(81)=同市東灘区=は「全体の九割は詳しい被害状況が刻まれていない。地元で多くの人が亡くなったことが分かれば土地が売れなくなる、という声も聞く」と明かす。
「モニュメントには亡くなった人たちの『同じ目に遭わないでほしい』という遺言を伝える役割がある」と上西さん。同法人は震災十五年の来年一月十七日、最新版マップに建立の由来、写真などの情報を加えたCDを発行する。NPO法人「阪神淡路大震災1・17希望の灯り」TEL078・682・1117
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