記事特集
被災者の生活再建や産業復興などを支援する財団法人「阪神・淡路大震災復興基金」の事業について、理事長の井戸敏三兵庫県知事は、二〇〇九年度末で新規受け付けを終えるとしていた従来の方針を転換、残余金が出れば継続を検討する考えを示した。副理事長の矢田立郎神戸市長も同様の意向。被災地に残された課題に対応した事業を続けていきたいという。(石崎勝伸、紺野大樹)
いずれも震災丸十四年を前に、神戸新聞社のインタビューに答えた。
復興基金は一九九五年四月に設立。県と同市が二百億円を拠出、八千八百億円を無利子で貸し付け、その運用益で百十三事業を展開してきた。設立から十年の〇四年度末で事業の新規受け付けを終了する予定だったが、高齢者の自立支援や市街地の再生など残された課題が浮上。二十二事業について残余金を活用し、〇九年度末まで五年間延長していた。
事業資金の残高は〇七年度末時点で九十一億円。二〇年度まで続く事業の資金を確保しても、一定の残余金が出る見通しという。
こうした状況を踏まえ、井戸知事は「(新たに受け付ける)事業の枠が出てくるようなら、基金を活用していくというのが基本姿勢」と説明。地域団体や商店街などに最高一千万円を補助する既存の「まちのにぎわいづくり一括助成事業」や、防災力強化の新規事業に充てたい、としている。矢田市長も「(受け付けを)続けるべき事業があれば、それに目を向けなければならない」とした。
継続の是非については今後、学識者らでつくる県復興フォローアップ委員会で議論するという。
2009/1/4震災負債37%未返済 ケミカルシューズ業界2009/1/17
震災特例貸付に初の時効 残高45億回収難航2009/1/16
企業の垣根越え商品化続々 神戸・ものづくり復興工場2009/1/15
独居死、過去最多の518人に 08年神戸市2009/1/15
県外被災者6割が兵庫に戻れず 阪神・淡路大震災2009/1/13
新たな取り組みへ 震災モニュメントマップ発行10年2009/1/12
復興住宅の高齢化率上昇 神戸は50%を突破2009/1/11
阪神・淡路被災者の援護資金、232億円が未返済2009/1/10