論ひょうご

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 77歳の監督兼外野手、長尾研司さんの体が何度も宙を舞った。胴上げしたのも、全員70歳以上の選手たちだ。三田市で昨年11月、21チームが参加し開かれた「第1回近畿古希軟式野球大会」。地元の「三田プリンス」が見事に初優勝し、喜びを爆発させた。

 三田プリンスにとって昨年は大きな飛躍の年となった。兵庫県の還暦リーグ戦でも、参戦から16年目で初の優勝を成し遂げた。主催の県還暦軟式野球連盟には近畿2府4県最多の19チームが参加している。あらためて兵庫の野球熱と奥深さにも気付かされる。

 試合や練習を見たことがある。印象深いのが、事前に行う柔軟体操の入念さだ。特に冬場は「年が年だけに体をほぐさないことには、始まらないし始められない」とある選手。体力を消耗する夏場、その日の体調に不安がある人は帽子にリボンをつけて臨み、周囲も目を配る。これも還暦、古希ならではの気配りだろう。

 「若いころのような体力はなく、もう劇的にうまくなることもない。知恵とチームワークで乗り切ってきた」。チームを率いる長尾監督の言葉も印象的だ。

 プロや社会人野球の元投手や野手が所属するチームも少なくないが、三田プリンスには、そうした経験者がいない。バッティングマシンを手前に置いて速い球に目を慣らしたり、バントを多用して揺さぶったりと、さまざまな対策をして強豪に挑んできた。

 ここ数年、そんな彼らの活躍の様子を本紙三田版で積極的に記事にしてきた。三田市は、「みた」ではなく「さんだ」の知名度アップに貢献したとして、一昨年、チームに市の特別賞を贈った。

 ある選手の言葉が記憶に残る。「会社員時代は良くも悪くも評価をされた。定年後にはそれがない。チームや選手の活躍が広く認められるうれしさは格別」

 還暦・古希野球は兵庫に経済的効果ももたらす。2014年には姫路市で全日本大会が開かれ、約1600人も参加した。昨年は三田市で西日本と近畿大会があった。宿泊や飲食などに使われる費用は相当なものだろう。

 高齢化対策はどの地域にも待ったなしの課題だ。サッカーやラグビーなどにも年配の愛好者がいる。形はどうであれ、元気な高齢者のスポーツを支援し、応援したい。それは、息の長い地域の活性化にもつながるはずだ。

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