3月11日、東北の被災地は東日本大震災から6年を迎えた。
この日の朝刊各紙は1面のトップで、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)から陸上自衛隊を撤収させる政府方針を伝えた。
さらに大阪の森友学園の問題で、理事長が渦中の小学校設置の認可申請を取り下げた記事も大きく報じられた。
なぜ、このタイミングなのだろうと思わずにいられない。
大震災と原発事故のことを、忘れない。震災前の暮らしを取り戻したいと願う被災者や避難者のことを、忘れない。そう確認し合う日が巡ってくるというのに。
陸上自衛隊の撤収時期は5月末がめどだ。「駆け付け警護」の付与や派遣部隊の日誌を巡る問題などがあったとはいえ、大震災から6年になる日の前日に、首相や防衛相が明らかにしなければならない事情があったとは思えない。
森友学園の問題では、翌週にも大阪府の私立学校審議会が開かれるとされていたものの、急きょ会見を開く必要性があったか。
突発的な出来事があったのならまだしも、これではあえて、3月11日に合わせたのではないかと勘ぐりたくもなる。
11日の追悼式では、首相の式辞から「原発事故」の言葉が消え、福島県知事が「違和感を覚えた」と語った。首相はかつて広島と長崎で、前年と同じようなあいさつをして批判されたことがある。周囲を含め、追悼や慰霊への配慮がしばしば欠ける点は改めてもらいたい。「忘れない」「寄り添う」と言うのであれば。
被災地に目を向ければ、人口減少が進む現実がある。兵庫の自治体を含め、首都圏以外はどこもそうだが、被災地では一層厳しい。元の住民に戻ってほしい、定住者を増やしたいとの願いは切実だ。
兵庫県や神戸市などが、力を入れている人口対策に「交流人口の増加」がある。観光や仕事を通して人を呼び込もう、もっと足を運んでもらおうというものだ。「1万人の定住人口が減っても、1日当たり1万人で交流人口が365万人増えれば、イコール」との言葉も耳にする。
同じようにツアーや修学旅行で東北に足を運び、できれば地元の人たちと触れ合って、顔の見える付き合いを広げていきたい。
被災地と関わり続けるために。遠く離れていても忘れず、寄り添い続けるために。








