論ひょうご

  • 印刷

 全国有数の「ものづくり県」である兵庫には、1万9千を超える製造業の事業所が集積している。工場見学のお誘いも多い。

 普段はなかなか見られない所もあるので、いそいそと参加する。そして毎回、想定外の“興奮”に遭遇する。大抵の場合、企業がPRしたいこととは別だったりするが…。最近もそうだった。

 化学メーカー、ダイセル(大阪市)の播磨工場。たつの市の南部、山に囲まれた広大な敷地で、自動車のエアバッグを膨らませる部品を作っている。

 ダイセルといえば、むだのないものづくりを徹底追求する「ダイセル式生産革新」が有名だ。見学会では、新たなダイセル式の取り組みが披露された。工場内にカメラが据えられ、従業員や設備を撮影。映像を解析し、作業ミスや不具合の予兆を検出するという。

 カメラの多さに圧倒されたが、別棟の工場で「防衛装備品」、要するに軍需品を手がけていると知り、正直、そちらが気になった。自衛隊機のパイロット緊急脱出装置などを製造しているのだ。

 見学はかなわなかったが、脱出装置の実験映像を見せてもらい、息をのんだ。パイロットの座席が火を噴いてロケットのように空中に飛び出す。まるで映画「トップガン」の世界だ。

 昔、ダイセルの前身は樟脳(しょうのう)からセルロイドを作っていた。樟脳は火薬の原料でもあり、技術の積み重ねが今につながっている。兵庫の産業は多様で裾野が広い。

 全く毛色は異なるが、殺虫剤メーカー、アース製薬(東京)の工場見学も忘れがたい。同社のCMに出演する歌手の郷ひろみさんが赤穂市にある主力工場を訪れた際、一緒に見て回った。

 なぜか急きょ、郷さんの単独インタビューをすることになった。入浴剤や洗口液の工場の感想を尋ねると、「ホコリひとつなく、製品へのこだわりを感じた」と即答した。問わず語りに、46年に及ぶ芸能生活の話になった。

 「若いミュージシャンは昔の僕を知らないし、関心もない。常に『お前は何ができるのか』が問われる世界。でも今の努力を続ければ最高の70代を迎える自信がある」と61歳の郷さんは笑った。

 兵庫は昨年、順位をひとつ落としたとはいえ、工場の立地件数は全国3位と上位にある。予想もしない驚きをひそかな楽しみに、この夏も工場に足を運んでいる。

論ひょうごの最新

天気(11月25日)

  • 13℃
  • ---℃
  • 0%

  • 11℃
  • ---℃
  • 10%

  • 13℃
  • ---℃
  • 0%

  • 13℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ