論ひょうご

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 尼崎市の阪神尼崎駅から南東へしばらく歩くと、工事現場が見えてくる。完成した姿を想像してみる。白壁や瓦、石垣などが織り成すそのたたずまいは、きっと都会の風景に映えるに違いない。

 来年秋の竣工(しゅんこう)に向け、天守の再建工事が進む尼崎城だ。約400年前の江戸初期、尼崎藩主・戸田氏鉄(うじかね)によって築かれた。

 大坂の西の守りとして甲子園球場の3・5倍もの敷地を誇ったが、144年前の廃城令で取り壊された。現在、遺構はほとんど残っておらず、天守跡一帯には学校などがあるため、鉄筋コンクリート造りの新天守は約300メートル北西に建てられる。

 かつて千以上もの城があったとされ、全国有数の“城大国”だった兵庫県に城郭が一つ、よみがえる。城好きとしてはとても待ち遠しい。

 再建計画が発表された際、大きな話題になった。そもそも尼崎城を知る市民はそんなに多くはなかったという。一部に復元を望む声があったものの、費用面などから実現に至っていなかった。

 ところが約2年前、家電量販店のミドリ電化(現エディオン)創業者・安保詮(あぼあきら)さん=尼崎市=が「創業の地に恩返ししたい」と、天守を築いた上で市に寄付することを提案。市有地の利用などについて市と協定を結んだ。安保さんはその際、「エレベーターを設置して、多くの人が見学しやすい場所に」と話している。

 建設費は10億円以上にもなるという。異例の展開に多くの人が驚き、そして拍手を送った。

 個人が私財を投じた城としては伊賀上野城(三重県伊賀市)が頭に浮かぶ。1935年に地元出身の衆院議員が再建した木造天守は今、まちの顔として市民や観光客に親しまれている。

 尼崎市は内部展示などの費用に充てるため、5月から「一枚瓦寄付」と「一口城主寄付」を募っている。既にふるさと納税と合わせて7700万円超が寄せられ、目標の1億円に届きそうな勢いだ。折からの城ブームに加え、市民の期待の大きさがうかがえる。

 尼崎城は工都の光景を変える可能性を秘めている。地元では城を含めたまちづくりが進んでおり、観光客の周遊も期待される。

 地域活性化に生かしたい。何より、未来に継承される市のシンボルとして末永く愛される存在であってほしい。

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