ひょうご「新聞感想文コンクール」

好きだからこそ強くなりたい

川田 江梨花(かわた・えりか)
 関西学院中学部2年

「熱戦149手藤井棋聖制す」

第61期王位戦第三局の決着がついた翌日、お目当ての記事を見付け出し私は興奮した。ここ数年、新聞から藤井棋聖関連の記事を家族に報告することが私の日課となっている。大注目されていたこの対局は、神戸市の有馬温泉で行われた。家族ぐるみで藤井棋聖のファンであり弟も将棋を勉強していた為、大阪にある関西将棋会館へ何度か足を運んだこともある。そこで熱い眼差しで真剣に将棋を指す子供達に圧倒された。そんな子供達の憧れである藤井棋聖が我が家から車で30分程の有馬温泉に訪れていることを知って、私は何日も前からよく眠れていなかった。

ちょうど藤井棋聖が有馬を訪れていた頃、私は熱気のこもった体育館でネットの上を行き交う一球のボールに集中していた。この日は女子バレーボールの兵庫県中学校総合体育大会の代替大会が行われており、まさか立てると思っていなかったコートの上で私はやる気に満ち溢れていた。

初心者で入部したての頃、私はサーブがネットに全く届かなかった。真面目に練習に参加していたが二学期に入ってもサーブが入らず、もちろん大会は毎回ベンチのみ。家族にも「もう二年生に上がる時に転部したら?」と言われるような状況だった。しかし私は諦めたくなかった。どうしてもコートに立ちたい。決意したその日から休日は家族に手伝ってもらいサーブの練習を必死に頑張った。

特に新型コロナウイルスの影響で登校が出来ない期間は毎日のように自主練習した。すると学校が再開し部活が始まった途端、10本サーブを打てば1本も入らなかったサーブが9本も入るようになっていた! 高確率でサーブが入るようになった私は念願のレギュラーの座を獲得し、晴れ舞台に立つことが出来たのだった。

記事にもあるように、藤井棋聖は「これまでの将棋を反省して」と、自分が勝った対局でも謙虚な姿勢を決して忘れることはない。そしてその一途な姿からは「将棋が好きだ」という思いがひしひしと伝わってくる。そんな藤井棋聖の記事に私は毎回勇気をもらう。それは「好きな事に突き進む」という勇気だ。

藤井棋聖が三連勝を収めてから約二週間後、さらに嬉しいニュースが飛び込んできた。福岡県での第四局で見事藤井棋聖が王位を奪取し、同時に最年少二冠、最年少八段昇段の記録を塗り替えた。藤井二冠誕生の瞬間だ。しかし、周囲とは対照的に本人は相変わらず謙虚な姿勢を崩さない。

「タイトル戦で自分の課題も見えた。そういったところを改善して強くなっていきたい」と、控え目だがさらなる闘志を感じる言葉を述べている。私も今の自分に満足せず、もう一段階強い選手に成長できるよう、自分のプレーの弱点に背中を向けずに正面から向き合い、苦手な事でも素直に認め、克服していこうと心に決めた。

「好きだからこそ強くなりたい」

藤井二冠も私も志は同じだ。

(8月6日付の神戸新聞から)

神戸新聞社賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校
1・2年
津田 依吹
小林聖心女子学院小学校・1年
タンタンがかえる
小学校
3・4年
林田 尚洋
神戸市立伊川谷小学校・4年
ゆめをかなえるスパコン「富岳」
小学校
5・6年
神木 希
神戸市立櫨谷小学校・6年
認知症も怖くない
中学生 柳原 綾乃
賢明女子学院中学校・1年
ぬくもり
高校生 鈴鹿 寧々
武庫川女子大学付属高等学校・3年
少しの勇気をもって
兵庫県知事賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
兵庫県知事賞 小学校
1・2年
橋本 雪
加古川市立野口小学校・2年
いりょうようガウンをつくったよ
小学校
3・4年
井野上 碧泉
甲南小学校・4年
これからを生きる私への宿題
小学校
5・6年
下前 佳子
神戸市立御影北小学校・6年
私に今、できること
中学生 川田 江梨花
関西学院中学部・2年
好きだからこそ強くなりたい
高校生 政廣 りお
愛徳学園高等学校・1年
尊重すべき権利は

学校賞

学校賞
学校賞
  • ・姫路市立豊富小中学校
  • ・多可町立加美中学校
  • ・兵庫県立伊川谷北高校

▽小学校1・2年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸海星女子学院小学校1年 山川 晏奈 バチはあたる?
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸大学附属小学校2年 林 美羽 ニホンイヌワシとかんきょうほご
明石市立鳥羽小学校2年 谷崎 紘太 ロボット開はつで存在かん
入選
入選 小野市立小野小学校1年 川村 真凛 ことしのなつやすみ
神戸市立美賀多台小学校2年 久保 花道 いやなことばかりじゃなかったよ
神戸市立長坂小学校2年 西川 柊翔 地球にあふれるプラスチックごみ
神戸市立伊川谷小学校2年 北野 由宇 あか石のせんそうの話
神戸市立井吹東小学校2年 萩原 泰地 ゴミをへらすたいせつさ

▽小学校3・4年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸海星女子学院小学校4年 永川 潤 くじらを食べる食文化
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
西宮市立南甲子園小学校3年 大恵 朱実 私にできること
神戸市立櫨谷小学校4年 神木 栞 大好きおばあちゃん
入選
入選 小野市立下東条小学校3年 井上 壮介 「紫電改」の記事をきっかけに
太子町立斑鳩小学校3年 八木 翔太 大きなゆめに向かって
南あわじ市立榎列小学校3年 武田 愛莉 ラストメッセージを読んで
神戸市立西舞子小学校4年 樋口 歩実 レジ袋有料化の記事を読んで
神戸市立摩耶小学校4年 前田 花子 虐待か伝統か

▽小学校5・6年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸市立乙木小学校6年 藤田 恵輔 伝えたい戦禍
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
関西学院初等部6年 柳澤 俐玖 海を守る
姫路市立豊富小中学校6年 青田 穂花 私たちの責任
入選
入選 神戸市立長坂小学校6年 中郡 麻菜美 命をめぐる物語
神戸市立舞多聞小学校6年 茂上 結南 海・地球を守るために
愛徳学園小学校6年 萩本 佳子 これからも
小林聖心女子学院小学校6年 古川 輝 夏の甲子園
神戸市立桂木小学校6年 鈴鹿 准平 ありがとう ぼくらのタンタン

▽中学生

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 兵庫県立大学附属中学校1年 佐原 小麦 私の時間の使い方
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸市立布引中学校2年 大石 なな葉 「伝える」で救える命
高砂市立松陽中学校2年 桑平 のどか 思い出いっぱいの園舎
入選
入選 賢明女子学院中学校1年 井上 潮音 わがまち
小林聖心女子学院中学校2年 山本 小百合 青い地球が赤くなる前に
小野市立小野南中学校2年 藤本 愛矢 被爆継承 私たちの責任
高砂市立松陽中学校2年 菅野 叶歩 人々の人生を変えてしまった被爆
多可町立八千代中学校3年 岸本 ひかり 平和な世界を目指して

▽高校生

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 賢明女子学院高等学校2年 藤原 なつみ 正しい言葉の使い方
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
報徳学園高等学校1年 片瀬 奏磨 それぞれのハバロフスク
兵庫県立神戸高等学校1年 仲田 和花 差別のない社会へ
入選
入選 兵庫県立神戸高等学校1年 北川 あい 見極める力
神戸山手女子高等学校2年 桑野 葵 小さな自分がまいた種
賢明女子学院高等学校3年 梅野 萌恵 心の傷を癒すということ
賢明女子学院高等学校3年 ペパー福井 アンナ 差別と連鎖
姫路女学院高等学校3年 桃井 乙葉 安楽死について

(敬称略)

学校参加校(62校)

▼小学校=28校

 神戸市=本山第一、本庄、御影北、神戸海星女子学院、宮川、愛徳学園、舞多聞、西舞子、長坂、伊川谷、乙木、美賀多台、枝吉、北山▼宝塚市=関西学院、小林聖心女子学院▼加古川市=野口北、東神吉▼高砂市=北浜▼三木市=広野▼小野市=小野▼多可町=八千代▼姫路市=豊富▼太子町=斑鳩▼たつの市=揖保、小宅▼豊岡市=日高▼洲本市=由良

▼中学校=17校

 神戸市=布引、愛徳学園▼西宮市=関西学院▼宝塚市=小林聖心▼明石市=高丘▼高砂市=松陽▼小野市=旭丘、小野南▼加東市=兵庫教育大学付属▼多可町=八千代、加美▼姫路市=賢明女子学院、飾磨中部、神南、香寺▼上郡町=兵庫県立大学付属▼洲本市=蒼開

▼高校=17校

 青陽東養護、神戸、神港橘、神戸山手女子、須磨翔風、愛徳学園、伊川谷北、伊川谷、鳴尾、武庫川女子大学付属、県立伊丹、明石南、多可、賢明女子学院、姫路女学院、日ノ本学園、津名

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