ひょうご「新聞感想文コンクール」

尊重すべき権利は

政廣(まさひろ)りお
 愛徳学園高1年

「ALS患者ら強い憤り」、インパクトのある見出しに目を引かれた。同じALS患者の方がどのように考えているかは知らなかったからだろうか。

この記事を読む前からニュースで事件のあらましは知っていた。最初は「患者さん自身が死にたいと思ったのなら仕方なかったのかな。私だったら動けない身体でまわりに頼らないといけないなら生きるのが辛いと思い気が滅入ってしまいそう」と安楽死に肯定的な意見を持っていた。

しかし、この記事を読んではっとした。ALS患者の生の声に途轍(とてつ)もない衝撃を受けた。私の考えは、医学や技術の進歩、社会環境を改善することをまるで考えていなかったことに気付いたからだ。ALS患者が必死に生きようとSNSを通じて手を取り合うなかで、健康で動くことができる私達が患者に寄り添うことも共感もせずに社会環境の改善に目を背けてきたことこそがこの事件の原因だったのかもしれないと思った。そもそも安楽死を許可したとしても表面を糊塗(こと)するだけで、根本的なALS患者の生きたいという気持ちの尊重の解決にはなっていない。

それなら安楽死を必要としないようにするにはどうすればいいか。ALS患者が思う実際の意見を読み、主に死にたいと思う理由が二つあるのではないかと思った。一つ目は、「自分一人で何もできなくなっていくことからくる恐怖心」、二つ目は、「周囲に迷惑をかけたくないという心苦しさ」だと考えた。

まず一つ目の理由について、武藤さんの意見の通り、進歩する技術やAIなどでALS患者がやりたいと思ってできることが少しでも増えたり、孤独や絶望を払拭(ふっしょく)できる可能性があると思った。二つ目の理由について、ALS患者以外にも難病を抱える人が生きたいと思えるような社会環境に私達が変えていこうと努力することで、周囲に迷惑をかけたくないというような肩身の狭い思いをしなくてすむと思う。

この考えが全て上手くいくとは思えないが、私達一人一人が行動すればそれはきっと無駄にならないと思う。難病を抱える人達だけではなく、色々な人が意見を言うことで合わせると大きな力になるだろう。そうなれば、自然と死にたいと思うことはなくなっていくのではないだろうか。

私はこの記事を読んで、安楽死を認めるということよりも、ALS患者を含む難病を抱える人達が生きたいと未来に希望をもつことができる社会をつくることが大切だと思うようになった。私は将来、法律関係の仕事に就きたいと考えている。この先法律を学ぶなかで安楽死について考えることもあると思う。だから、普段の生活のなかだけでは知り得なかったALS患者の気持ちを心に留めて、記事を読んだ時の衝撃を忘れずに一人一人の意見や考え方と向きあっていきたい。

(7月28日付の読売新聞から)

神戸新聞社賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校
1・2年
津田 依吹
小林聖心女子学院小学校・1年
タンタンがかえる
小学校
3・4年
林田 尚洋
神戸市立伊川谷小学校・4年
ゆめをかなえるスパコン「富岳」
小学校
5・6年
神木 希
神戸市立櫨谷小学校・6年
認知症も怖くない
中学生 柳原 綾乃
賢明女子学院中学校・1年
ぬくもり
高校生 鈴鹿 寧々
武庫川女子大学付属高等学校・3年
少しの勇気をもって
兵庫県知事賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
兵庫県知事賞 小学校
1・2年
橋本 雪
加古川市立野口小学校・2年
いりょうようガウンをつくったよ
小学校
3・4年
井野上 碧泉
甲南小学校・4年
これからを生きる私への宿題
小学校
5・6年
下前 佳子
神戸市立御影北小学校・6年
私に今、できること
中学生 川田 江梨花
関西学院中学部・2年
好きだからこそ強くなりたい
高校生 政廣 りお
愛徳学園高等学校・1年
尊重すべき権利は

学校賞

学校賞
学校賞
  • ・姫路市立豊富小中学校
  • ・多可町立加美中学校
  • ・兵庫県立伊川谷北高校

▽小学校1・2年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸海星女子学院小学校1年 山川 晏奈 バチはあたる?
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸大学附属小学校2年 林 美羽 ニホンイヌワシとかんきょうほご
明石市立鳥羽小学校2年 谷崎 紘太 ロボット開はつで存在かん
入選
入選 小野市立小野小学校1年 川村 真凛 ことしのなつやすみ
神戸市立美賀多台小学校2年 久保 花道 いやなことばかりじゃなかったよ
神戸市立長坂小学校2年 西川 柊翔 地球にあふれるプラスチックごみ
神戸市立伊川谷小学校2年 北野 由宇 あか石のせんそうの話
神戸市立井吹東小学校2年 萩原 泰地 ゴミをへらすたいせつさ

▽小学校3・4年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸海星女子学院小学校4年 永川 潤 くじらを食べる食文化
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
西宮市立南甲子園小学校3年 大恵 朱実 私にできること
神戸市立櫨谷小学校4年 神木 栞 大好きおばあちゃん
入選
入選 小野市立下東条小学校3年 井上 壮介 「紫電改」の記事をきっかけに
太子町立斑鳩小学校3年 八木 翔太 大きなゆめに向かって
南あわじ市立榎列小学校3年 武田 愛莉 ラストメッセージを読んで
神戸市立西舞子小学校4年 樋口 歩実 レジ袋有料化の記事を読んで
神戸市立摩耶小学校4年 前田 花子 虐待か伝統か

▽小学校5・6年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸市立乙木小学校6年 藤田 恵輔 伝えたい戦禍
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
関西学院初等部6年 柳澤 俐玖 海を守る
姫路市立豊富小中学校6年 青田 穂花 私たちの責任
入選
入選 神戸市立長坂小学校6年 中郡 麻菜美 命をめぐる物語
神戸市立舞多聞小学校6年 茂上 結南 海・地球を守るために
愛徳学園小学校6年 萩本 佳子 これからも
小林聖心女子学院小学校6年 古川 輝 夏の甲子園
神戸市立桂木小学校6年 鈴鹿 准平 ありがとう ぼくらのタンタン

▽中学生

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 兵庫県立大学附属中学校1年 佐原 小麦 私の時間の使い方
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸市立布引中学校2年 大石 なな葉 「伝える」で救える命
高砂市立松陽中学校2年 桑平 のどか 思い出いっぱいの園舎
入選
入選 賢明女子学院中学校1年 井上 潮音 わがまち
小林聖心女子学院中学校2年 山本 小百合 青い地球が赤くなる前に
小野市立小野南中学校2年 藤本 愛矢 被爆継承 私たちの責任
高砂市立松陽中学校2年 菅野 叶歩 人々の人生を変えてしまった被爆
多可町立八千代中学校3年 岸本 ひかり 平和な世界を目指して

▽高校生

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 賢明女子学院高等学校2年 藤原 なつみ 正しい言葉の使い方
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
報徳学園高等学校1年 片瀬 奏磨 それぞれのハバロフスク
兵庫県立神戸高等学校1年 仲田 和花 差別のない社会へ
入選
入選 兵庫県立神戸高等学校1年 北川 あい 見極める力
神戸山手女子高等学校2年 桑野 葵 小さな自分がまいた種
賢明女子学院高等学校3年 梅野 萌恵 心の傷を癒すということ
賢明女子学院高等学校3年 ペパー福井 アンナ 差別と連鎖
姫路女学院高等学校3年 桃井 乙葉 安楽死について

(敬称略)

学校参加校(62校)

▼小学校=28校

 神戸市=本山第一、本庄、御影北、神戸海星女子学院、宮川、愛徳学園、舞多聞、西舞子、長坂、伊川谷、乙木、美賀多台、枝吉、北山▼宝塚市=関西学院、小林聖心女子学院▼加古川市=野口北、東神吉▼高砂市=北浜▼三木市=広野▼小野市=小野▼多可町=八千代▼姫路市=豊富▼太子町=斑鳩▼たつの市=揖保、小宅▼豊岡市=日高▼洲本市=由良

▼中学校=17校

 神戸市=布引、愛徳学園▼西宮市=関西学院▼宝塚市=小林聖心▼明石市=高丘▼高砂市=松陽▼小野市=旭丘、小野南▼加東市=兵庫教育大学付属▼多可町=八千代、加美▼姫路市=賢明女子学院、飾磨中部、神南、香寺▼上郡町=兵庫県立大学付属▼洲本市=蒼開

▼高校=17校

 青陽東養護、神戸、神港橘、神戸山手女子、須磨翔風、愛徳学園、伊川谷北、伊川谷、鳴尾、武庫川女子大学付属、県立伊丹、明石南、多可、賢明女子学院、姫路女学院、日ノ本学園、津名

  • 新着ニュース
  • アクセスランキング
購読・試読・読者紹介キャンペーン バックナンバーお申込み
購読者は無料
デジタルのみ