ひょうご「新聞感想文コンクール」

審査委員長講評
興味育て 人と話す契機に

兵庫県NIE推進協議会 秋田久子 会長

ご応募くださった4943人の児童・生徒の皆さん、62校の先生方、そして、コンクール継続にお力を寄せてくださいました全ての皆さま、ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

11回目の準備はコロナによる休校の中で始まりました。学習すらも進めにくい中で、コンクールなどと思案しました。一方で、こんな時だからこそ、教育と社会をつなぐ新聞感想文コンクールに意味があると考え準備を進めました。

ふたを開けると、コロナや休校を取り上げた作品はわずかでした。子供たちは与えられた枠組みの中で、たくましく自分の興味を育てていました。小学生は目に映る大人の動きを、中学生は社会の在り方を、高校生は今後の社会を占う出来事を凝視していました。むしろ、枠組みの激変に狼狽(うろた)えていたのは私たち大人だったかもしれません。子供たちは新聞という窓から、じっと社会を見、感じ、考えていました。

A部門では、記事から話が弾むさまをありありと感じました。会話が人を育てると痛感しました。

B部門では、関心が戦争、環境、科学技術など社会的なテーマに広がっていました。難しい記事を自分なりに読み込んで理解を深めようとする努力が印象に残っています。記事がいろいろな人と話す契機になり、周囲の大人も丁寧に話を受け止めていました。

C部門になると、時間軸も空間軸もぐっと広がります。理解のための比較が始まり感度も高まります。自分の視点からの比較や気づきから考察が生まれます。小学校も高学年になると、学んだことや経験が記事に触発されて今の自分とつながり、さらに未来へと向かい始めます。

D部門・中学生は「在り方」考察が始まります。それとともに、意見表明は中途のままになりがちです。もう一歩踏み込んで調べてみませんか。比較検討して批判的に記事を読んでみましょう。「自分はどう考えるか」が明確になりますよ。それが「未来のあなた」を形作っていきます。

E部門では、社会課題を前に立ちすくむような作品が目につきます。高校生は社会の複雑さや人間心理の難しさが理解できるだけに、かえってきれいごとでまとめがちです。主語は「私」で考えましょう。この世を生きるのはほかならぬ、「私」です。主語が私になったとき、具体性とともに文章に熱が生まれ共感が広がっていきますよ。

最後に一つアドバイスを。句読点や助詞は文中の意味のつながりを示します。整うと文意が通ります。書き終わったら声に出して読んで、周りの人にも聞いてもらいましょう。SNSでは正確な使い方の訓練は難しい。新聞記事を声に出して読んでみることもお勧めします。

成長段階を感じさせる、たくましいコンクールでした。また来年。楽しみにしています。

神戸新聞社賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校
1・2年
津田 依吹
小林聖心女子学院小学校・1年
タンタンがかえる
小学校
3・4年
林田 尚洋
神戸市立伊川谷小学校・4年
ゆめをかなえるスパコン「富岳」
小学校
5・6年
神木 希
神戸市立櫨谷小学校・6年
認知症も怖くない
中学生 柳原 綾乃
賢明女子学院中学校・1年
ぬくもり
高校生 鈴鹿 寧々
武庫川女子大学付属高等学校・3年
少しの勇気をもって
兵庫県知事賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
兵庫県知事賞 小学校
1・2年
橋本 雪
加古川市立野口小学校・2年
いりょうようガウンをつくったよ
小学校
3・4年
井野上 碧泉
甲南小学校・4年
これからを生きる私への宿題
小学校
5・6年
下前 佳子
神戸市立御影北小学校・6年
私に今、できること
中学生 川田 江梨花
関西学院中学部・2年
好きだからこそ強くなりたい
高校生 政廣 りお
愛徳学園高等学校・1年
尊重すべき権利は

学校賞

学校賞
学校賞
  • ・姫路市立豊富小中学校
  • ・多可町立加美中学校
  • ・兵庫県立伊川谷北高校

▽小学校1・2年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸海星女子学院小学校1年 山川 晏奈 バチはあたる?
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸大学附属小学校2年 林 美羽 ニホンイヌワシとかんきょうほご
明石市立鳥羽小学校2年 谷崎 紘太 ロボット開はつで存在かん
入選
入選 小野市立小野小学校1年 川村 真凛 ことしのなつやすみ
神戸市立美賀多台小学校2年 久保 花道 いやなことばかりじゃなかったよ
神戸市立長坂小学校2年 西川 柊翔 地球にあふれるプラスチックごみ
神戸市立伊川谷小学校2年 北野 由宇 あか石のせんそうの話
神戸市立井吹東小学校2年 萩原 泰地 ゴミをへらすたいせつさ

▽小学校3・4年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸海星女子学院小学校4年 永川 潤 くじらを食べる食文化
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
西宮市立南甲子園小学校3年 大恵 朱実 私にできること
神戸市立櫨谷小学校4年 神木 栞 大好きおばあちゃん
入選
入選 小野市立下東条小学校3年 井上 壮介 「紫電改」の記事をきっかけに
太子町立斑鳩小学校3年 八木 翔太 大きなゆめに向かって
南あわじ市立榎列小学校3年 武田 愛莉 ラストメッセージを読んで
神戸市立西舞子小学校4年 樋口 歩実 レジ袋有料化の記事を読んで
神戸市立摩耶小学校4年 前田 花子 虐待か伝統か

▽小学校5・6年

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 神戸市立乙木小学校6年 藤田 恵輔 伝えたい戦禍
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
関西学院初等部6年 柳澤 俐玖 海を守る
姫路市立豊富小中学校6年 青田 穂花 私たちの責任
入選
入選 神戸市立長坂小学校6年 中郡 麻菜美 命をめぐる物語
神戸市立舞多聞小学校6年 茂上 結南 海・地球を守るために
愛徳学園小学校6年 萩本 佳子 これからも
小林聖心女子学院小学校6年 古川 輝 夏の甲子園
神戸市立桂木小学校6年 鈴鹿 准平 ありがとう ぼくらのタンタン

▽中学生

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 兵庫県立大学附属中学校1年 佐原 小麦 私の時間の使い方
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸市立布引中学校2年 大石 なな葉 「伝える」で救える命
高砂市立松陽中学校2年 桑平 のどか 思い出いっぱいの園舎
入選
入選 賢明女子学院中学校1年 井上 潮音 わがまち
小林聖心女子学院中学校2年 山本 小百合 青い地球が赤くなる前に
小野市立小野南中学校2年 藤本 愛矢 被爆継承 私たちの責任
高砂市立松陽中学校2年 菅野 叶歩 人々の人生を変えてしまった被爆
多可町立八千代中学校3年 岸本 ひかり 平和な世界を目指して

▽高校生

摺河学園賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
摺河学園賞 賢明女子学院高等学校2年 藤原 なつみ 正しい言葉の使い方
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
報徳学園高等学校1年 片瀬 奏磨 それぞれのハバロフスク
兵庫県立神戸高等学校1年 仲田 和花 差別のない社会へ
入選
入選 兵庫県立神戸高等学校1年 北川 あい 見極める力
神戸山手女子高等学校2年 桑野 葵 小さな自分がまいた種
賢明女子学院高等学校3年 梅野 萌恵 心の傷を癒すということ
賢明女子学院高等学校3年 ペパー福井 アンナ 差別と連鎖
姫路女学院高等学校3年 桃井 乙葉 安楽死について

(敬称略)

学校参加校(62校)

▼小学校=28校

 神戸市=本山第一、本庄、御影北、神戸海星女子学院、宮川、愛徳学園、舞多聞、西舞子、長坂、伊川谷、乙木、美賀多台、枝吉、北山▼宝塚市=関西学院、小林聖心女子学院▼加古川市=野口北、東神吉▼高砂市=北浜▼三木市=広野▼小野市=小野▼多可町=八千代▼姫路市=豊富▼太子町=斑鳩▼たつの市=揖保、小宅▼豊岡市=日高▼洲本市=由良

▼中学校=17校

 神戸市=布引、愛徳学園▼西宮市=関西学院▼宝塚市=小林聖心▼明石市=高丘▼高砂市=松陽▼小野市=旭丘、小野南▼加東市=兵庫教育大学付属▼多可町=八千代、加美▼姫路市=賢明女子学院、飾磨中部、神南、香寺▼上郡町=兵庫県立大学付属▼洲本市=蒼開

▼高校=17校

 青陽東養護、神戸、神港橘、神戸山手女子、須磨翔風、愛徳学園、伊川谷北、伊川谷、鳴尾、武庫川女子大学付属、県立伊丹、明石南、多可、賢明女子学院、姫路女学院、日ノ本学園、津名

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