兵庫県明石市のソウルフード、明石焼（玉子焼）が家庭で楽しめる「あかし玉子焼粉セット」の人気が口コミで広がっている。全国のご当地料理が集うイベント「Ｂ－１グランプリ」でおなじみ「あかし玉子焼ひろめ隊」の隊長で、専門店「夢工房」を営む古志利宗（こしとしむね）さん（４６）が商品開発した。新型コロナウイルスで外出が難しい夏休み。古志さんは「おうちであかパー（明石焼パーティー）を」と呼び掛ける。（小西隆久）

　粉セットは２０１６年８月、古志さんが「おいしい明石焼を手軽に家庭でも」と販売を始めた。発売当初は売れ行きがそれほどでもなく、古志さんも「店で食べる方が人気なんやな」と思う程度だった。

　状況が一変したのは昨年のことだ。イベント出店などの売り上げが全体の６割を占める同店だが、新型コロナ禍で中止が相次ぎ、イベントでの売り上げが前年の１割にまで激減した。

　一方で、新型コロナの感染が拡大した昨年の春先、「巣ごもり需要」で小麦粉やお好み焼き粉、ホットケーキミックスといった「粉もん」全般が品薄状態に。同店の粉セットも商社から問い合わせが殺到し、昨年１年間の売り上げが前年比３００％を超えたという。

　「コロナ禍を想定した商品ではなかったが、自由に移動ができない中、お土産物としても需要が高まったのかも」と古志さん。同店でも作り方を説明したマニュアルを配布するなどＰＲ活動に力を入れる。

　現在、市内に約７０軒ある専門店は新型コロナ禍で観光客らの減少に苦しむ。「粉セットはあくまで明石焼を知る入り口」と強調する古志さん。家庭で具材などを自由にアレンジすることで「たこ焼きのように家庭でも店でもという食べ方が普及するきっかけになれば」と明石焼のさらなる人気拡大を願っている。

　１セットに、ミックス粉１０５グラムとだし汁１２０ミリリットルが入って５００円（税抜き）。あかし観光案内所などで購入できる。夢工房ＴＥＬ０７８・９２９・１１８８