明石

  • 印刷
議会閉会後、取材に対し専決処分での事業断行を表明する泉房穂市長=明石市中崎1、明石市役所
拡大
議会閉会後、取材に対し専決処分での事業断行を表明する泉房穂市長=明石市中崎1、明石市役所

 新型コロナウイルスで困窮する飲食店などを支えようと、全市民にサポート利用券を配布する緊急対策をめぐり、対立が先鋭化する兵庫県明石市の泉房穂市長と市議会。専決処分で事業の断行を決めた泉市長は、「議会軽視」との批判を強める市議に対し、「法に基づく手続き」との姿勢を崩さない。これまでも再三、議会と衝突してきた泉市長。一方的とも取れる今回の専決処分の背景に「おごり」や「焦り」を見て取る向きもある。(小西隆久)

 「一般会計補正予算案を継続審査とすることに決しました」

 12日、8月臨時市議会の本会議で榎本和夫議長が採決の結果を告げた瞬間、泉市長は口を引き結んだ。

 市は、全市民に配布する5千円分の利用券の事業費約17億円を計上した2021年度一般会計補正予算案を、11日に開会した臨時議会に提出。前日、泉市長は会見で「コロナ禍で苦しむ飲食店や市民の悲鳴が聞こえる」と幾度も緊急性を強調していた。

 市議からは「(約1億5千万円に上る配送費用などの)経費をもっと抑えられないか」などの意見が相次ぎ、生活文化常任委員会、本会議でいずれも「継続審査」を賛成多数で可決。本会議後、泉市長は報道関係者に「議会が決めないのであれば法律に従い、専決処分で予定通り実施する」と表明した。

 保守系市議は「そこまでやるか」といら立ちをあらわにした。市当局と市議会の亀裂を決定的にした専決処分の裏には、ささいな伏線があった。

    ◆   ◆

 4日、市議会議長室。議会側が示した臨時議会の日程に、泉市長が突然「なんでそんなに遅いんですか。急ぐんですよ」と声を荒らげた。さらに「すぐに招集告示を打ちますから」と泉市長は議長室を後にし、その足で議会招集の手続きを終えた。

 市当局が「臨時議会を開いてほしい」と打診してきたのは8月2日。「9月議会ではだめなのか」と返した議会側に対し「とにかく急ぎたい」と繰り返した泉市長。議会側が折れる形で提示した盆休み明けの日程案に市長が激高したため、盆休み前で調整する案は出せずじまいだった。

 明石市議会は通常、2~7月と9~12月の2会期制。休会中に議会を招集するには、開会の少なくとも1週間前には市長が告示を出す必要がある。市長に認められた権限ではあるが、慣例で議会側との事前協議は必須だった。

 その協議を経ないまま泉市長が一方的に議会を招集したいきさつは、瞬く間に市議の間に広まった。

 「こちら側(議員)の都合はお構いなし。あまりにも一方的すぎる」

 唐突に決まった議会で、支援者との懇談予定を変更した市議がこぼす。「今回のような勝手を許していいのか」と各会派に働き掛ける市議も現れた。

 こうした「きしみ」が議案に対する批判や異論、果ては「継続審査」につながっていった。

    ◆   ◆

 就任以来、たびたび議会との衝突を繰り返してきた泉市長。1期目の市長選で公約とした「議員定数削減」の条例化を一方的に通告し、反発した議会が「反省を求める決議」を全会一致で可決した。それでもなお泉市長は譲らず、議会が混乱したこともあった。

 しかし、市職員への暴言に端を発した2019年の出直し選以後、泉市長の強硬な姿勢は鳴りを潜める。

 “復調”の兆しは新型コロナ下で現れた。感染が拡大した昨春以来、市独自の緊急対策を発表するたび「本来は国や県がやるべき」と批判を繰り返した。対策の遅れが指摘された井戸敏三県知事(当時)に1月、「センチュリーに乗っても人は死なないが、コロナで人は死ぬんです」と言い放ち、市議会副議長が「目に余る」と市側に対応を求める場面もあった。

 家賃の支払いに苦しむ個人商店に最大100万円を無利子で貸し付ける支援策など、市が打ち出す施策にインターネット上には手放しでの称賛があふれた。

 「コロナ対策で完全におごってしまった」。市幹部が表情を曇らせる。こうした泉市長の「おごり」が、7月の県知事選をめぐってさらに加速していった。

明石
明石の最新
もっと見る
 

天気(10月29日)

  • 20℃
  • 13℃
  • 10%

  • 18℃
  • 12℃
  • 20%

  • 21℃
  • 12℃
  • 0%

  • 20℃
  • 11℃
  • 10%

お知らせ