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明石に根を張り、創立5周年を迎えた出版社「ライツ社」=明石市桜町
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明石に根を張り、創立5周年を迎えた出版社「ライツ社」=明石市桜町
これまで出版した本を手にする社長兼編集長の大塚啓志郎さん(右)と社長兼営業責任者の高野翔さん=明石市桜町
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これまで出版した本を手にする社長兼編集長の大塚啓志郎さん(右)と社長兼営業責任者の高野翔さん=明石市桜町
ライツ社が出版した本17冊と作家らの直筆コメントが並ぶコーナー=明石市大明石町1
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ライツ社が出版した本17冊と作家らの直筆コメントが並ぶコーナー=明石市大明石町1

 出版社の約9割が東京に集中する中で地方の兵庫県明石市に根を張り、社員6人の小所帯ながら、重版率は63%という驚異的な売れ行きの本を手掛ける「ライツ社」(同市桜町)が7日、創立5周年を迎えた。明石市で出版社って一体、どんな仕事ぶりなのだろう-。同社を訪ねてみた。(小西隆久)

 「私も詩を書いてるんやけど、本にならへん?」「ちょっと無理ですね。一応、1万冊単位ですから」

 昼下がりの同社。大きなテーブルの一角で、社長兼編集長の大塚啓志郎さん(35)が、近所の「おばちゃん」と談笑している。

 京都の出版社に勤めていた大塚さんが、故郷の明石に同社を設立したのは2016年9月。社名の由来は「書く(writes)」力で「まっすぐ(right)」、「照らす(light)」を意味する、社員の合言葉だという。

 店の営業はたったの3時間半、1日100食限定のステーキ丼専門店主が書いた「売上を、減らそう。」(2019年)や、最小限の工程で特別な調味料などは使わない実用的なレシピ本「リュウジ式悪魔のレシピ」(同)…。いずれも同社が世に送り出し、世間の話題を集めた本だ。

 とはいえ、最初から順風満帆ではなかった。設立1年目は約1800万円の赤字。社長兼営業責任者の高野翔さん(38)は「資金切れになる夢で夜中に目が覚め『夢でよかった』と何度も胸をなで下ろした」と明かす。

 大きな転機は、神戸の有名シェフがペンを取った「全196カ国おうちで作れる世界のレシピ」(17年)。「東京の出版社では発掘できないネタが地方にこそ転がっている。明石の出版社である意味が分かった」と大塚さんが振り返る。

 この本は、新型コロナウイルスの「巣ごもり需要」とも相まって追加印刷する重版が10刷を数え、計約4万4千部を売り上げた。同社が2年目にして黒字を計上する大きな原動力になった。

 他方、普段の業務では企画などの会議は一切なし。すべてスマホのアプリ上でやりとりし「おおむね全員が『これなら』と賛同した企画が走り始める」と高野さん。年間の出版ペースは数冊と少数のため、残業もほとんどしない。

 大塚さんは「純粋に本作りだけに時間を使っている。だからこそうちにしか作れない本にこだわる」。ゆったりとした口調にも確かな自信がにじんでいる。

■「ライツ社」5周年記念しフェア ジュンク堂で30日まで

 ジュンク堂書店明石店(明石市大明石町1)で、創立5周年を迎えた明石市の出版社「ライツ社」の本を特集する記念フェアが開かれている。30日まで。

 同社がこれまでに出版した本は計30冊で、合計部数は約73万7千部。売れ行きが好調で、追加印刷する重版を16刷、20刷と重ねる本もあり、「出版不況」とされる業界の驚きの的だ。

 写真家のヨシダナギさんや、明石市在住の絵本作家たなかしんさんら、多彩で著名な執筆陣も注目を集める。

 フェアでは、同社の本17冊を並べ、関わった作家ら9人が「ライツ社 私の愛読書」とのテーマでコメント。作家の岸田奈美さんは「人生の壮大すぎる悩みにバチコーンと突き刺さる本」、ヨシダさんも「あの国で食べた名前も分からないあの料理。(中略)あの感覚をまた味わえる」などと直筆で寄せた。

 「確かなコンテンツが客の心をつかんでいる本ばかり」と同書店の角石美香副店長。ジュンク堂書店明石店TEL078・918・6670

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