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利用者の食事の介助をする興津さん=明石市大久保町大窪
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利用者の食事の介助をする興津さん=明石市大久保町大窪
元機関士。車いすの整備をするのはお手のもの=明石市大久保町大窪
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元機関士。車いすの整備をするのはお手のもの=明石市大久保町大窪

 10月で80歳を迎えた興津一博さん=兵庫県明石市=は週4日程度、市内の特別養護老人ホームに出勤する。セカンドキャリアとして63歳から歩み始めた介護士の道。「美空ひばりや片岡千恵蔵ら昭和の名歌手、名優の話題で一緒に盛り上がります」と興津さん。介護の仕事はもちろん、車いすのメンテナンスなど身に付けた多彩な技能をフル活用して利用者の生活を支える。(有冨晴貴)

 興津さんは中学校を卒業後、遊覧船運航会社に就職。エンジンなどの機械整備や船を操縦する機関士として勤務。2004年、62歳で定年退職した。

 「今まで仕事ばっかりだったのに、ずっと家にいたら妻も困るのではと思った」と興津さん。何か打ち込めることはないかと新聞をめくっていると、ホームヘルパー2級講座の広告が目にとまった。

 機関士の仕事をしながら、実母の介護をしていた経験から興味が湧き、すぐさま受講の手続きをした。当初は介護士として勤めるつもりはなく「自分も妻も年を取っていくし、勉強だけしておこうと思っていた」。ところが講師の熱のこもった指導に感化され、同講座を開いていた社会福祉法人三幸福祉会(明石市大久保町大窪)に“スカウト”される形で05年、新たな職に就いた。

 以来、特別養護老人ホーム「清華苑」で介護士として働く。12年には70歳にして国家資格の介護福祉士を取得。「より一層高度な業務に従事したい」という思いを実らせた。

 現在の主な業務は入浴の介助や、ベッドと車いす間の移し替えなど。食事を介助するときは、利用者に笑顔で「大丈夫ですか」と声をかけながら、慎重にスプーンを口元に運ぶ。

 車いすのブレーキが利きにくくなったときや、タイヤがパンクしたときは興津さんの出番だ。機関士の経験を生かし、てきぱきと分解、部品を交換する。同僚の職員は「興津さんが仕事をしている姿そのものが、同年代の利用者さんに元気や張りを与えていると思う」と話す。

 80歳を過ぎても仕事を続ける意欲は、通退勤路で湧いてくるという興津さん。「仕事に向かう途中は、今日はどうやって喜んでもらおうかと考える。帰り道ではあの人に喜んでもらえた、良かったと思い返すんです」

 はつらつとした笑顔を振りまく興津さんだが、昨年から体力の衰えを感じ始めたといい、いつまで仕事を続けられるか分からないという不安も。「命を預かる仕事。先のことを考えるより、毎日ミスをしないことを徹底したい」。自らに厳しく、日々新たな気持ちで介護の現場に立ち続ける。

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