しゃもじのような大きなくちばしが特徴の「クロツラヘラサギ」が兵庫県明石市西部のため池に飛来した。全世界の個体数が約5千羽と推定される絶滅危惧種で、県内で確認されるのはまれ。同市の自営業渡辺親世さん(76)が撮影した。
コウノトリ目トキ科の鳥で全長約75センチ。認定NPO法人バードリサーチ(東京)によると、朝鮮半島と中国東部を繁殖地とし、台湾や香港などで越冬する。国内では九州を除けば毎年確実にやって来る場所は少ないという。「環境省レッドリスト2020」で絶滅危惧1B類に指定されている。
渡辺さんは19、20日の2度にわたって確認。池に入ってくちばしを左右に振り、池底の餌をあさる様子に「全身白色でサギにも見えたが餌の採り方が違う」と感づき、平たいくちばしなどを手がかりに特定した。
「池の水位が下がっており、餌を食べやすいのでしょう。珍しい鳥に出合えて、明石は自然が残っているいいところだとあらためて思った」と話している。(松本茂祥)
