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女性が飼っていたカニンヘンダックスフントのエデル
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女性が飼っていたカニンヘンダックスフントのエデル

 ペットが「家族」として大切にされるようになり、その医療を巡る訴訟が増加傾向にある。飼い犬に対して適切な診断と治療が行われず死期が早まったとして、兵庫県明石市の女性らが同県加古川の動物病院を運営する会社と獣医師に慰謝料など約593万円の賠償を求めた訴訟で、大阪高裁が66万円の支払いを命じた。14日、判決が確定した。代理人の弁護士は「20年前に比べて確実に訴訟件数は増えている」と話す。(松本寿美子)

 訴えたのは明石市の女性(61)と家族。2017年12月26日、飼い犬のカニンヘンダックスフントの雄「エデル」が突然死した。

 判決によると、同月16日、かかりつけの動物病院で、肝臓の血管肉腫の疑いと診断された。翌日の検査で腹腔(ふくくう)内出血があり、血小板数の減少が著しいなど、突然死する可能性がある播種(はしゅ)性血管内凝固症候群(DIC)が疑われる数値だったが、獣医師は詳しい病態検査や治療をしなかった。

 病院側は「輸血で重篤な症状を回避できて状態が安定し、DICまでは生じていなかった」と主張。これに対し判決は「DICの前段階であると認識できた」「獣医療の水準に合った治療がされたとはいいがたく、治療に関して過失があるというべき」とし、「適切な検査・治療を行っていれば、死亡日に生きていた可能性がある」とした。

 原告側の渋谷寛弁護士は「判決では、適切な医療が行われるべきは、人間と動物の医療とで違いはないとも言っており、いい判決だった」と話した。

 動物病院の医師は「私たちとしては、看護師含めて夜間つきっきりでできることはしたが、力及ばず残念な結果になった」としている。

■費用負担大きく、意見書く獣医師探しも難航 原告側のハードル高く

 民法上は「動産」、つまり「物」とされるペットだが、近年は「飼い主が愛情を注ぐ家族」として、飼い主への損害賠償が認められるケースが目立つ。しかし、動物についての裁判は原告にとってハードルが高いという。

 女性の裁判を担当し「ペット法学会」の事務局長を担う渋谷寛弁護士は2003年以降、ペットの飼い主が起こした裁判約10件を担当した。「動物への医療の場合、文献が少ない。人間の医療のように毎年書籍が発行されるわけではないので原告に知識が求められる」と話す。また、人間の医療裁判では裁判所が大学病院に意見を求めることがあるが、動物の裁判では、そうした環境はなく「裁判官が理解できていないことがある」という。

 今回訴訟を起こした女性は看護師として働く。「人間と動物の医療には、違う部分がある。私もたくさん本を買って勉強したので、医療関係者以外の人はもっと大変」と話す。人間に比べ勝訴した場合の損害賠償額も少ないため、担う弁護士も少なく、原告の裁判費用の方が多くなるケースが多い。

 意見書を書く獣医師探しにも苦労した。協力した獣医師は「予後が極めて厳しいことを家族に伝えず、意味がない検査に進み、気の毒な死に方」と思い、応じたという。「動物の医療裁判にも人間の裁判のような環境があれば協力しやすい。参考意見を述べる獣医師がリスクを負わずにすむような体制ができるといい」と話す。

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