ボクは、幻覚や幻聴や被害妄想で苦しくなる病気です-。統合失調症を患う30代の田中タツヤさん=ペンネーム、神戸市西区=が、症状や家族との日常をつぶやくように描いた4こま漫画集「タッチャンの独り言」を出版した。他人への恐怖や休職の心苦しさ、薬の影響などを素朴なタッチで表現。「こういう人もいると知って見守ってほしい。同じようにモヤモヤしている人の励みにもなれば」と話す。(松本寿美子)
田中さんが診断を受けたのは、22歳の頃。小学生時代は陽気だったが、中学に入学すると環境になじめず、不登校になった。全寮制の高校を経て機械製造の会社で約2年間働き、漫画の専門学校に通った。
しかし、周囲のレベルの高さに悩み、次第に悪口を言われていると感じるようになる。「通学の電車で中学生たちが僕の家のことを話し、自宅に盗聴器を仕掛けられていると思った」と幻聴を振り返る。
漫画の登場人物が自分に対しせりふを言ってくる、テレビの芸人が自分の悪口を言っている…。被害妄想が増え、専門学校を卒業間近で辞めた。訪ねた親戚宅で「人が怖くて入れない」という田中さんに、母親も異変に気づいたという。
約1年半前、母親が水彩画を習う兵庫県明石市内の絵画教室でのこと。画家の竹中信清さん(81)に、絵日記のように気持ちを描いて見せると「いいやん。本にせえへんか」と言われた。
4こま漫画は全31ページ62作品。竹中さんは「人気漫画のまねのような、うまく描こうとした絵よりも等身大の線がいい」と話す。母親も「ありのままの絵のほうが面白く、本人の夢がかなった」と喜ぶ。
田中さんは、最低賃金が保証される「就労継続支援A型事業所」に登録しているが通えていない。「普通に働けないことが不安。親がいなくなれば1人になる。頭もぼーっとし、区役所からの手紙も理解できない。漫画を読んだ同じ病気の人たちはどう生きているのか、その親はどうしているのかも知りたい」と話す。
本は税込み800円。
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