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 淡路島3市の2025年度当初予算案が出そろった。歳入や歳出、「借金」「貯金」はそれぞれどんな状況か。財政指標も踏まえつつ各市の特徴を紹介する。

淡路市 寄付金と市税収入が増加

 淡路市の一般会計は2024年度から21億1600万円増え、390億2800万円。旧5町の事業を持ち越した合併初年度の05年度を除き過去最大の規模。

 歳入では、市税収入を過去最高と見込む。定額減税の終了に伴い個人市民税が大幅に回復。企業誘致の推進で給与水準の高い企業が市内で増え、賃上げが進んで給与所得が上がったことも影響した。好調なふるさと納税を含む寄付は、前年度比5・5%増の46億3650万円。個人のふるさと納税は7億円増を見込む。

 これら市税や寄付金が増えたことで、財政力を示す自主財源比率は47・7%と前年度からやや改善する見通し。

 歳出では、給与改定などにより、人件費は前年度から14・2%増の57億8503万円となった。投資的経費は17・6%増の35億3852万円で、北淡総合福祉センターの改修工事費用などが額を押し上げた。

 貯金となる財政調整基金など基金の残高は、前年から11・4%減の144億9583万円。ふるさと納税基金から35億7228万円を取り崩し、高校生の通学費全額補助などに充てる。借金を示す市債残高は310億3525万円で、前年度から5・5%減る。

 繰り上げ償還の効果で、収入に占める借金返済額の割合、実質公債比率は11・4%と前年度から1・7ポイント改善。一方で、財政負担の度合いを示す将来負担比率は、ふるさと納税基金の減少などで34・9%と3ポイント悪化する。(中村有沙)

洲本市 ふるさと納税復帰見込む

 洲本市の一般会計は262億3千万円。基準違反による制度参加取り消しを経て、2年ぶりにふるさと納税の寄付などを見込んだため2024年度から20億9500万円増え、06年の旧町合併後3番目に大きい規模となった。

 歳入は、今年10月の復帰を目指すふるさと納税の寄付金5億円を計上。市財政課は「取り消し中、淡路、南あわじ市で増えた寄付額を基にした額」とする。

 個人税は、賃上げにより前年度比12・7%増の19億6650万円。市税全体は、法人税の増加も含め同5%増の59億円を見込む。

 歳出では、五色認定こども園(仮称)の整備や文化体育館の補修が重なり、投資的経費は同8億9900万円増の29億7400万円。義務的経費も職員の給与引き上げにより増加した。

 基金残高は41億7402万円。このうちふるさと納税の基金は8億8100万円を取り崩すため残高が11億8209万円になり、最も多かった22年度の約20%に減る。

 市債の残高は229億1600万円で前年度から2億9400万円減る。市民1人当たりは55万6千円。一方で、実質公債費率は11・4%と1・4ポイント改善する見込み。

 今後も、広域ごみ処理施設の整備や、五色地区での道の駅の整備など大型事業を進めるため、市債は増える見通し。市財政課は「実質公債費率が悪化する可能性はあるが、市民生活への影響はない」とする。

(荻野俊太郎)

南あわじ市 給食費計上などで歳出増

 南あわじ市の一般会計は2024年度比19億4千万円増の329億7千万円。05年の旧4町合併後では最大の規模となった。

 歳入では、個人税が6739万円増える見込み。22年度に高騰したタマネギの価格が落ち着き、農業所得が下がる一方、定額減税措置が終了したため、全体では増えた。

 ふるさと納税の寄付額は個人を25億円、企業版を200万円とそれぞれ見込んだ。ほかに、災害用トイレカー2台目の購入費として、個人から寄付を受ける予定の500万円を充てる。

 歳出では、人事院勧告に基づき市職員の給与が増えるなどしたため、人件費が4億5455万円増えた。また、これまで学校で徴収していた給食費を市の会計に組み込んだことなどにより、物件費は8億4983万円増える見込み。

 投資的経費も、旧三原庁舎での公園整備が始まることなどにより2億4164万円増えた。

 市債残高は333億1288万円で、前年度から2・8%増える見込み。広域ごみ処理施設の整備や防災行政無線の更新などで市債を発行することが理由という。

 財政調整基金、ふるさと納税の基金など基金の残高は前年度から2・5%減って127億1751万円。市民1人当たりに換算すると、借金が76万3千円に対し、貯金は29万1千円になる。

 将来負担比率は66・4%と悪化する見通し。(劉 楓音)