折れて倒れた電柱=9日午前、尼崎市若王寺
折れて倒れた電柱=9日午前、尼崎市若王寺

 9日午前2時半ごろ、兵庫県尼崎市次屋2の交差点内で、停止している乗用車とそばで立っている男を、巡回中の県警尼崎東署のパトカーが見つけた。職務質問しようと署員が降車して近づくと、男は車に乗り込み急発進。パトカーで追いかけたものの見失った。

 その約5分後、約1キロ離れた同市若王寺3の市道で、逃走した車が電柱や民家の壁に衝突して止まっているのを同署員が発見。男は車を置いて市内の自宅に帰っており、事故発生から約14時間後、同署は道交法違反(事故不申告)の疑いで、市内の無職男(22)を逮捕。男は「交通事故を起こしたにもかかわらず、車を放置し、警察官に事故の届け出をせずに逃げてしまいました」などと容疑を認めているという。

 事故当時、車には3人が乗っていたとみられ、同乗していた20代女性が病院に搬送され、軽傷のもよう。

 車の発見時、運転席には男に代わって50代女性が座り、助手席に20代女性がいたという。3人は親族とみられ、男は「親族と飲食店で酒を飲んだ」と話しており、呼気からは基準値を超えるアルコールが検出されているという。

 事故現場はJR塚口駅の南東約1・5キロ。県道から斜めに分岐するセンターラインのない狭い市道で、周辺には店舗や住宅が密集している。

 近くに住む会社員男性(58)は「ドーン」という爆発音のような音で気付いて見に行ったといい、「後部の塗装がかなりはげてシルバーになっている黒い車が止まっていた。結構なスピードで突っ込んだんじゃないか」と振り返る。

 電柱は中央付近がぽきっと折れ、くの字のように傾いていた。午前10時を回っても復旧作業が完了せず、男性の自宅も停電。モーターで水をくみ上げている関係で水が出ず、「何があったんか知らないがいい迷惑ですわ」と眉をひそめていた。

 関西電力送配電によると電柱が折れた影響で周囲の約30世帯が約10時間半にわたって停電した。