神戸市長田区のラーメン店で、店主の男性が銃撃されて殺害された事件で、兵庫県警長田署捜査本部が犯人が逃走に使った可能性のある乗用車を兵庫県外で発見、押収していたことが捜査関係者への取材で分かった。店周辺にある複数の防犯カメラには、銃撃があったとみられる時間帯に店から立ち去る人物が写っていたことも判明。捜査本部は、計画的な犯行の疑いもあるとみて、押収した乗用車などの鑑定を進める。
捜査本部によると、殺害されたのは、特定抗争指定暴力団山口組弘道会傘下組織の余嶋(よじま)学組長(57)。
22日午前11時ごろ、同区東尻池町9のラーメン店で、買い出しから戻ってきた女性従業員が、厨房(ちゅうぼう)付近であおむけに倒れている余嶋組長を見つけ、搬送先の病院で死亡が確認された。至近距離から拳銃のようなもので撃たれた可能性があり、頭部から銃弾が見つかった。
従業員は午前10時半ごろに店を出たとされ、捜査本部は、余嶋組長が1人になったところを襲われたとみている。捜査関係者によると、周辺の複数の防犯カメラには、帽子をかぶった黒い服の人物が店を訪れ、立ち去る様子が記録されていた。他の防犯カメラにはその人物が乗ったとみられる乗用車が写っており、特徴が似た車を捜査員が発見したという。
捜査本部によると、店内には薬きょうが落ちていたが、拳銃は見つかっておらず、持ち去られたとみている。捜査本部は暴力団関係者が関与しているとみて調べている。
事件は29日で発生から1週間となる。現場近くに住む70代男性は「もしも暴力団の抗争だったらと考えると、とても怖い。子どもがいる家庭も周辺に多いので一日でも早く捕まえてほしい」と不安そうに話した。