海上自衛隊の潜水艦修理契約に絡む裏金問題は、少なくとも40年間続いていた。にもかかわらず、大阪国税局が指摘するまで表に出ることはなかった。どんな手口だったのか。
川崎重工業(神戸市中央区)の側で架空取引や物品提供の「要」となっていたのは「工担」と呼ばれる社員だ。神戸造船工場修繕部に所属し、修理作業の進捗(しんちょく)を管理するとともに、物品を発注する権限があった。
川重の中間報告によると、工担は、潜水艦乗組員から要望品リストを受け取ると、下請け企業に架空の品を発注した。下請けは、川重が払った「代金」をプールし、そのお金で要望品を購入して川重に届けた。