店頭に並ぶ多彩な入浴剤。競争はし烈だ=神戸市西区玉津町新方、ゴダイドラッグ玉津新方店
店頭に並ぶ多彩な入浴剤。競争はし烈だ=神戸市西区玉津町新方、ゴダイドラッグ玉津新方店

■「バスクリン」合併、赤穂工場から新商品

 入浴剤メーカーが熱いシェア争いを繰り広げている。健康や快適志向から市場は拡大傾向にある。花王の「バブ」が根強い人気の中、最大手のアース製薬は昨年、新ブランド「オフロム」を投入、今年1月には入浴剤の元祖「バスクリン」を扱う子会社を吸収合併した。アースは赤穂工場(赤穂市)と藤枝工場(静岡県)から、多彩なブランドで攻勢を強める構えだ。(特別編集委員・加藤正文)

 「バスロマン」「温泡」のアース製薬は1964年に参入した老舗で、2012年にバスクリンを子会社化、14年には経営破綻した日用品メーカー白元の事業を譲り受けた。

 アース製薬によると、25年の業界シェア(金額ベース)は、同社グループが約4割を占めてトップに立つ。内訳はバスクリン18・5%▽アース製薬16%▽白元アース7%-。市場では他に、花王やドイツ系のクナイプジャパン、子ども向けに強いバンダイなどがしのぎを削る。

 アースがバスクリンを合併したのは「製品開発力とマーケティングを強化する」(同社)狙いという。知名度の高いバスクリンを強化してシェアを拡大する狙いもある。同時に、本拠の赤穂工場では重炭酸入りの新ブランド「オフロム」の生産に力を注ぐ。「入浴剤開発のノウハウを結集」(同)し、高濃度の重炭酸と、同社では最大量となる温泉成分を配合した。

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 入浴剤の始まりは津村順天堂(現・ツムラ)が1897(明治30)年に売り出した「くすり湯・浴剤中将湯」だ。1930年には芳香浴剤「バスクリン」が誕生した。時を経てツムラは入浴剤事業を分社。ファンドの支援で経営陣による自社買収(MBO)を成立させ、バスクリンとして独立したが、2012年にアース製薬に買収された。

 藤枝工場は「日本の入浴剤文化を支えるマザー工場」として、バスクリンが11年に立ち上げた。ここでは粉状と粒状の入浴剤を生産する。主力のバスクリンやバスロマン、きき湯など25年の生産量は計111種類、約258万ケースに上る。62種類、約120万ケースの赤穂工場と比べて2倍の規模がある。

 敷地面積は約2万平方メートル。6階建ての工場は上層階から低層階へ原料を自然に落下させる設計で、エネルギーロスを低減できる。

 入浴剤は、保温効果を持つ芒硝(ぼうしょう)(硫酸ナトリウム)や清浄効果のある重曹(炭酸水素ナトリウム)などが主原料となる。工場では季節ごとに原料の調合を変えたり、製品の種類ごとに分量を変えたりして生産ラインに流す。粉体は湿気に弱いため、固まる前に高速で充塡(じゅうてん)する工夫もある。

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 調査会社の富士経済によると、入浴剤の市場規模は近年、500億円台で推移してきた。新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で拡大した後は落ち着いていたが、ここへきて再び広がりつつある。血行促進や疲労回復、保湿などの効果を求める動きが背景にあり、製品は高単価、高付加価値化が加速しているという。

 加藤貴史・藤枝工場長(53)は「消費者のニーズに合わせて開発した製品を量産化し、安定してお客さまに届けていくことが使命」と話した。

【アース製薬】虫ケア用品首位で、口腔(こうくう)衛生用品や入浴剤なども製造する。1892(明治25)年創業、1910年赤穂市坂越に工場を建設した。大塚製薬グループ。兵庫県内では赤穂市内に坂越、赤穂の2工場と研究所を持つ。2025年12月期の連結売上高は1791億円、経常利益は88億円。