「イッシ、イッシ、ドッコイ」のかけ声で酒だるを運ぶ伝統行事の「樽かき」=姫路市香寺町岩部
「イッシ、イッシ、ドッコイ」のかけ声で酒だるを運ぶ伝統行事の「樽かき」=姫路市香寺町岩部

 月初までの暑さがうそのように秋風が吹いた8日、兵庫県播磨各地で秋祭りの本宮がピークを迎えた。街中や農村に氏子のかけ声が響き、屋台やみこしが躍動する。豪快な練りや地域の伝説に由来する踊りなど、多彩な行事が繰り広げられ、熱気にあふれた一日となった。

 同県姫路市香寺町岩部の大歳神社では本宮の8日、酒だるを青竹で担いで千鳥足で練り歩く「樽(たる)かき」が奉納された。村を救った大蛇伝説に由来する市指定無形民俗文化財で、新型コロナの影響で4年ぶりに披露された。

 飛鳥時代に市川が氾濫し、大蛇が洪水をせき止めて力尽きたが、村人が酒をささげると息を吹き返した-との伝説があるという。午前8時半、赤いふんどし姿の男性2人一組で、約25キロの四斗だるを担いで練り始めた。後ろには一斗だるを担ぐ小学生が続いた。

 「イッシ、イッシ、ドッコイ」という独特なかけ声に合わせ、揺れるような足取りでゆっくりと参道から境内へ。境内を一周し、本殿にたるを奉納すると、住民が拍手を送った。大役を担った中寺小2年の門田真弥(まひろ)君(7)と山下雄司(ゆうし)君(8)は「練習通り格好よく担げた」と満足げだった。(橘高 声)