神戸市垂水区の山陽電鉄の踏切内で1月、中国籍の観光客の女性2人が電車にはねられ死亡した事故で、同社が事故防止のための対策を取らなかったなどとして、2人の両親が山陽電鉄と男性運転士に対し、計約1億4千万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。提訴は4日付。
訴状などによると、1月9日午後、山陽電鉄西舞子-大蔵谷間の「山田川西踏切」で、運転士が踏切道にいる2人を発見しブレーキをかけたが間に合わず死亡した。2人は20代の大学院生で友人同士だった。待機場所を誤った可能性があるという。
現場は遮断棒から国道2号の車道まで約1メートルと狭く、待機場所が狭い特異な構造。この踏切道では2009年以降、人身を含む4件の事故が起きている。
遺族側は同社が踏切道の危険性を把握しながら、人が立ち入った際に運転士に注意を促す仕組みを導入せず「安全性を欠いた状態を放置していた」と主張。運転士が180メートル手前で誤進入したバイクを見つけた例があったが、今回は59メートル手前まで発見が遅れたと指摘した。事故当時の映像で2人は衝突まで電車に気付いていない様子だったとし「発見した時点で警笛を鳴らしていれば電車に気付き、退避できた」としている。
事故を受け、山陽電鉄は多言語で待機場所を示すピクトグラム(絵文字)を設け、国土交通省などが待機場所を拡幅する工事を進めている。同社は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
























