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世界への感染拡大の状況をモニターで見ながら新型コロナウイルスの特徴を説明する茅野医官=神戸市中央区脇浜海岸通1、WHO神戸センター
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世界への感染拡大の状況をモニターで見ながら新型コロナウイルスの特徴を説明する茅野医官=神戸市中央区脇浜海岸通1、WHO神戸センター

 新型コロナウイルスの感染拡大が連日伝えられる中、世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」という認識を表明した。どんな病気で、感染拡大防止の鍵は何なのか。中国約5万6千人の患者について、WHOが中国政府と合同調査した報告書を翻訳したWHO神戸センターの茅野龍馬医官(健康危機管理担当)に話を聞いた。(聞き手・霍見真一郎)

■8割弱が30~60代

 -遺伝子解析は。

 「中国各地で2019年12月末から今年2月中旬の間に発症した104人から採取したウイルスのゲノム(遺伝情報)解析を行い、99・9%の相同性が認められた。つまり、その時点で確認された新型コロナウイルスは1種類だった」

 -感染経路は。

 「くしゃみや咳(せき)などによる飛沫(ひまつ)感染と、媒介物を介した接触感染がある。空気感染は報告されていない。ただ医療施設で特定の措置をした場合には、空気中を漂う細かい粒子『エーロゾル』が生まれ、それによる感染も想定される」

 -感染者の特徴は。

 「最年少は生後2日、最年長は100歳。ただ77・8%は30代から60代に収まっていた。感染者の男女比では男性が51・1%と、ほとんど差はない」

 -感染力は。

 「公衆衛生対策を取る前の段階では、1人の感染者が2人から2・5人に広げていたことが分かった」

■高齢者に重症傾向

 -子どもへの感染はどうか。

 「18歳以下の感染例は全体の2・4%しかいない。すべての感染者を把握できていない可能性を加味しても、比較的低い罹患(りかん)率と考えられる」

 -どんな症状が出るのか。

 「症状のない人から肺炎、死亡まで幅広い。多いのは、発熱が87・9%、たんの絡まない空咳が67・7%。約8割は感染に気付かなかったり、軽い肺炎で済んだりするが、呼吸困難などの重症が13・8%、多臓器不全などの重篤が6・1%出ている」

 -感染者全体に対する死亡者の割合は。

 「5万5924人のうち2114人が死亡した。単純計算による致死率は3・8%だが、医療体制が整った2月以降は0・7%となっている。致死率は年齢とともに高くなり、80歳以上は21・9%となっている」

 -基礎疾患(持病)がある人の致死率が高い。

 「基礎疾患がない患者の致死率が1・4%だったのに対し、心血管疾患の人は13・2%、糖尿病9・2%、高血圧8・4%、慢性呼吸器疾患8・0%、がん7・6%だった」

■安心できる治療体制を

 -WHOの事務局長が先日「パンデミック」と表明したが、日本の現状はどうか。

 「WHOでは、どこで感染するか分からない『市中感染』▽特定の地域に収まっている『局地感染』▽帰国した旅行者などに感染が限定される状況-の3段階に分類しているが、日本は局地感染の段階だ。現時点で一部に感染経路不明のものがあるとしても、まだ追える可能性があるとみている。感染経路を追うことに依然意義はある。封じ込めの努力は続けるべきだ」

 -風邪やインフルエンザと症状が似ている。

 「咳などの症状がある場合はむやみに外に出ないことが重要だ。病院に行く前には各自治体などの相談窓口に電話してほしい」

 -封じ込めに最も重要なことは何か。

 「感染者に対する偏見が強くなると、疑わしい症状が出ても検査を敬遠する人が増え、まん延する恐れがある。感染を広げないためには、感染者が安心して検査や治療を受けられる環境づくりを急ぐ必要がある」

【かやの・りょうま】長崎大医学部卒、同大国際連携研究戦略本部助教などを経て2015年から現職。厚生労働省や兵庫県、神戸市との情報交換や緊急時の対策支援に携わる。35歳。

【記事特集リンク】新型コロナウイルス

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