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摂食障害との向き合い方を話す高宮静男院長=明石市、たかみやこころのクリニック(2019年撮影)
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摂食障害との向き合い方を話す高宮静男院長=明石市、たかみやこころのクリニック(2019年撮影)

 新型コロナウイルスの感染拡大で先の見えない不安が広がる中、過食による嘔吐(おうと)や拒食を繰り返す「摂食障害」の患者の症状悪化が懸念されている。専門医や当事者団体は生活リズムの整え方や心のケアの方法をアドバイスする。(佐藤健介)

 摂食障害は自尊感情の低さが背景にあるとされ、「たかみやこころのクリニック」(兵庫県明石市)の高宮静男院長(69)は「自分が大切にされている。そう、実感できることが患者にとって大切だ」と説く。

 コロナ感染を警戒し、通院しなくなった兵庫県内の10代女性を電話で診療した。この女性は、太ることを極度に恐れる「神経性やせ症」の患者。筋力も落ちていたが、近況について「動きすぎていないし、規則正しく生活している」と報告。すると、高宮院長は「踏ん張ってるね」と語り掛けた。症状が落ち着いているという1人暮らしの20代女性患者には「親元を離れて大変だろうけど、よくやってるなあ」とねぎらう。

 電話診療では、顔色や筋肉崩壊を示す検査データなど身体の状態を見極められないと心配する。それでも、高宮院長は「脳の働きなどで食べるのがつらい上、家での自由な時間が増えて食事のリズムを崩す懸念もある。そんな状況での頑張りを認める言葉掛けが必要だ」と語る。

 こうした患者の心理や家族の気の持ちようを学ぶ「家族教室」は3月から中止。代わりに在宅勤務を始めた親らの来院を重視する。「テレワークの合間を縫って子どもの受診に付き添い、病態に理解を深めてほしい。『完璧を目指さない』『何があっても見捨てない』という気持ちが育まれ、患者本人や家族らの不安も和らぐ」と期待する。

 このほか、受診時に「外出自粛は、ゆったりした生活を味わえるチャンス」と伝える。「食事を1日3回ゆっくりとり、映画や音楽などで団らんを楽しめば良い。1人暮らしの人も同じように好きなことをして過ごし、電話で家族や友達との会話を楽しんでほしい」と呼び掛ける。

 その際に注意点は「適度な運動」を強く促さないこと。「適度が過度になってしまう病気だから。仕事や受験などにあくせく追われ続けた人も少なくない。あくまで『ゆったり』を暮らしの軸に」と助言する。

 日本摂食障害協会はコロナ禍を受けて「生活が不規則になると食が乱れる」との声明を発表。頭を使う▽手仕事▽インターネット交流サイト(SNS)で人とつながる-といった時間割を決めるよう勧める。

 また、家族に手作り料理を振る舞う▽アロマを匂う▽水回りを掃除する▽アニメを見る▽マスクを縫う-など、食べ過ぎへの衝動や体重を過度に減らす運動を抑えるアイデアも、公式サイトで紹介している。

【摂食障害】太ることへの恐怖から過度な食事制限や運動を続ける「神経性やせ症」や、大量に食べて嘔吐や下剤の使用を重ねる「神経性過食症」などに分類される。神経性やせ症から、飢餓状態の反動で、神経性過食症に移り、長期の治療を要するケースも。ダイエットや受験、友人関係や家庭環境などが複雑に絡んで発症するとされる。

     ◇     ◇

<コロナ禍で摂食障害悪化を防ぐポイント>

・「自分が大切にされている」と患者に実感してもらう

・音楽や映画鑑賞、ゲームなどで家族団らんを楽しむ

・食事は1日3回規則正しく、ゆっくりと味わって食べる

・在宅勤務の親も受診に付き添うなど、病気への理解を深める

・時間を決め、電話やSNSで友人や離れて暮らす家族と交流する

・過食や体重を落とす過活動をしないよう、好きなことに打ち込む

・現在の体重を減らさないよう、自分の食べやすいものを摂取する

・やむを得ず嘔吐した後は水、お茶、経口補水液、塩分やカリウムが多い食品を補う

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