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フェースシールドを着け訪問診療に当たる「つだ歯科」のスタッフ=姫路市網干区
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フェースシールドを着け訪問診療に当たる「つだ歯科」のスタッフ=姫路市網干区
「阪神・淡路大震災で口腔ケアの重要性が認識された」と語る神戸市歯科医師会の杉村智行専務理事=神戸市須磨区
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「阪神・淡路大震災で口腔ケアの重要性が認識された」と語る神戸市歯科医師会の杉村智行専務理事=神戸市須磨区

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、介護施設などで訪問診療の受け入れを休止する動きが出たのを受け、施設利用者の「口の健康」を守ってきた歯科医師らが懸念を強めている。唾液や飲食物が気管に入る「誤嚥(ごえん)」を起こした際、口の中の環境が悪いと細菌が肺に侵入し、誤嚥性肺炎になるリスクが高まるからだ。阪神・淡路大震災でも口腔(こうくう)ケアがおろそかになり、肺炎で亡くなる高齢者が相次いだとされ、第2波に備え「震災の教訓を生かすべきだ」と訴える。(井沢泰斗)

 「痛いところ、気になるところはありますか」。5月下旬、兵庫県姫路市網干区のサービス付き高齢者向け住宅で、フェースシールドを着けた歯科衛生士の大山愛美さん(40)が入居者の女性(78)に呼び掛けた。

 ペアの歯科医師が入れ歯を洗浄する間に、残っている歯の間や舌の上をブラシで丁寧に磨く。パーキンソン病を患い、自分で歯磨きができないという女性は「放っておくと嫌な臭いがする。手入れしてもらうと気持ちいい」とほほ笑んだ。

 大山さんが勤める同市飾磨区の「つだ歯科」は外来に加え、訪問診療も実施。身体が不自由で外来診療が困難な高齢者や障害者が主な対象で、虫歯の治療だけでなく、口腔衛生や口の動作の維持も目的にする。

 同院には4~5月、新型コロナの影響で4割ほどの施設から「訪問診療中止」の連絡が入った。高齢者は新型コロナに感染すると重症化リスクが高いとされ、介護施設ではクラスター(感染者集団)が発生したケースもあった。津田賢治院長(50)は「『施設内で感染が広がったら』という不安は理解できる。一方で1カ月診療が空けば、要介護者の誤嚥性肺炎などのリスクは高まる」と訴える。

     ◇

 その懸念が現実となったのが阪神・淡路大震災だ。神戸市歯科医師会によると、避難所や仮設住宅では水不足などで十分に歯磨きができず、被災者の口腔内環境が悪化。免疫力の低い高齢者を中心に肺炎の発症が相次いだ。

 兵庫県内で「震災関連死」と認定された919人のうち肺炎が原因とされたのは約24%。誤嚥性に限定したデータはないものの、一般的に肺炎で亡くなる高齢者の多くは誤嚥性とされる。同医師会専務理事の杉村智行さん(59)=神戸市須磨区=は「震災で初めて災害時の口腔ケアの重要性が認識された」と振り返る。

 コロナ禍で歯科受診を控える動きがあるが、「専門職が定期的にチェックすべき患者は必ずいる」と杉村さん。津田院長も「要介護者に『不要不急の歯科診療』はない。対策によりコロナ感染のリスクを減らした上で診ることは可能」と診療継続の重要性を訴える。

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