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患者との面会は窓ガラス越し。患者の顔が見えるようスタッフがベッドを起こした=西宮市武庫川町、兵庫医科大病院
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患者との面会は窓ガラス越し。患者の顔が見えるようスタッフがベッドを起こした=西宮市武庫川町、兵庫医科大病院

 新型コロナウイルスの「感染第1波」で、重症者中心に7人の感染者を受け入れた兵庫県西宮市の兵庫医科大病院が神戸新聞の取材に応じ、混乱と奮闘の日々を振り返った。ベテラン救命救急医が見たこともない病態が次々現れ、急激に悪化していく患者。特効薬がない中で手探りの治療を続け、肺に負荷をかけないことを最優先した新しい人工呼吸法に着目した。(霍見真一郎)

 「30年近く救急で集中治療をしてきたが、ここまで急激に病態が変化して感染力が強い病気は初めて」

 同病院救命救急センターの白井邦博副センター長は、重症患者の治療の難しさを語った。ある患者は、わずか数十分前まで安定していたのに突然不整脈を起こし、その後数十分で心肺停止になった。別の患者は、呼吸不全や腎不全などの治療を行っていたら、突然脳出血を起こし、亡くなった。竹末芳生感染制御学主任教授は「ものすごく怖い、経験のない感染症」と強く認識したという。

 治療薬候補の「アビガン」は、ほかの薬と併用で7人全員に投与した。人工呼吸器を付ける手前の中等症患者には効果が出たが、「重症者にはまったく効かなかった」。人工心肺装置「ECMO(エクモ)」も備えているが、適用条件にあてはまらず、使用は患者の一部にとどまった。たとえエクモを使っても、カテーテルを心臓近くまで入れる際、感染防止のため透視装置が使えず、レントゲン撮影で何度も位置を確認しなければならなかった。懸命の治療がなされたが、7人中4人が死亡した。

 そんな中、重症者に装着する人工呼吸器の扱い方で工夫が生まれた。通常呼吸器は、病態によって送り込む圧力を変えるのが一般的だが、肺に極力負担をかけないよう、圧力を一定に保つように変えた。

 また、従来の一般的治療では、眠らせたままだと筋力が落ち合併症も増えるため、呼吸器装着後、症状が落ち着けば患者を起こすようにしていた。だが、コロナ患者は、肺を限界まで保護するため、2週間も眠らせたままにしたこともあった。その結果、7人目の患者は、入院2週間後に病状が改善し始め、さらにその約2週間後、人工呼吸器が外れた。

 患者の家族への配慮も深まった。患者の濃厚接触者となることが多い家族がようやく病院に来られても、患者とは窓越しにしか会えない。心配する家族の気持ちに寄り添い、患者に化粧をしたり、椅子のようにベッドを起こして顔が見えるようにしたりした。

 新たな感染拡大も始まった。同病院は8月18日現在、累計13人の感染者を受け入れた。白井副センター長は「世界中で集めたデータを客観的に評価し、どういった治療がいいか検討していくことが必要だ」と話している。

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