乳がんの再発を防ぐ治療薬の臨床試験を実施するため、神戸大学(神戸市灘区)は9日、インターネットで2千万円の寄付を募るクラウドファンディング(CF)を始めると発表した。専門サイト「レディーフォー」を通じ、12日から12月25日まで募集する。
臨床試験では、一部患者に対し、標準的な薬とは別に効果が示唆される薬を試す。対象は、乳がんの10~15%を占めるタイプ「トリプルネガティブ」の患者。30~40代に多く発症し、唯一の治療法が抗がん剤だが、効きにくい場合は3年以内の再発率が高い。
このタイプの転移患者に関する英国の論文では、がんを抑える遺伝子に変異がある人の場合、標準薬より保険適用外の薬「カルボプラチン」の方が、2倍近く効くという結果が報告されている。
カルボプラチンを試す今回の試験に向け、既に神戸大病院や兵庫県立がんセンターなど全国26施設が登録。患者計270人を対象に、効果を調べる予定。
発案した神戸大病院乳腺内分泌外科の谷野裕一特命教授(57)は「年間千人のがん再発を防ぎ、命を救うことにつながる。CFを成功させ、治療法の研究に関する良い前例になれば」と話す。
神戸大卒業生・基金課TEL078・803・5012