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移植手術を行う神戸アイセンター病院の医師ら(同病院提供)
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移植手術を行う神戸アイセンター病院の医師ら(同病院提供)
神経網膜シートに使われた、ヒトiPS細胞から分化した立体網膜組織(理化学研究所・大日本住友製薬提供)
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神経網膜シートに使われた、ヒトiPS細胞から分化した立体網膜組織(理化学研究所・大日本住友製薬提供)

 「ほんの小さな一歩でも無事に踏み出せて感慨深い」-。人工多能性幹細胞(iPS細胞)で作製した「神経網膜シート」の移植手術を、世界で初めて実現させた神戸市立神戸アイセンター病院が16日、同市内で会見を開き、栗本康夫院長が静かに語った。手術を受けた女性患者は医師らに「治療を待っている人の希望になればうれしい」と話していたことも明らかにした。

 会見は新型コロナウイルスの感染防止のため人数制限。それでも報道関係者約40人が出席し、注目の高さを示した。

 手術は今月上旬、目の難病「網膜色素変性症」の60代女性患者=関西地方在住=に行われた。発症後10年以上たっており、明暗が分かる程度。病院側から事前に、機能回復は不明で、治療の安全性の確認が目的だと説明していたという。

 執刀した栗本院長は「患者さんの勇気に感謝したい」とたたえた。手術後、女性は体調が回復し、ほっとした様子だったという。来週にも退院予定。半年後から物を見る機能に変化があるかどうかなどを確認する。

 栗本院長は手術を振り返り、「中枢神経は再生しないというのが長年の医学界の常識だった。実際に患者を治療することができ、中枢神経の再生への第一歩」と成果を口にした。

 記者から手術の点数を問われると、研究の責任者、平見恭彦副院長は「100点です」と即答。同病院の医師、万代道子・理化学研究所副プロジェクトリーダーは神経回路がつながるかに着目し、「どこまでうまくいくかしっかり見守りたい」と表情を引き締めた。

 栗本院長は「人間は視覚に頼って生きている。人生100年時代で、視覚の再生は非常に意味がある」と強調。3人は終始、慎重な口調だったが、確かな前進を喜んだ。本年度中に2人目の患者を手術する方針。

 iPS細胞を用いた目の臨床研究は、2014年、当時の先端医療センター病院(神戸市中央区)などが「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」という難病患者に移植手術を成功させている。(井川朋宏)

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