医療

医療ニュース
  • 印刷
試作品について保田広輝さん(左)に説明する中田成紀さん=加古川市加古川町寺家町
拡大
試作品について保田広輝さん(左)に説明する中田成紀さん=加古川市加古川町寺家町
人工呼吸器の付属品を作るのに使われた3Dプリンター=加古川市加古川町寺家町
拡大
人工呼吸器の付属品を作るのに使われた3Dプリンター=加古川市加古川町寺家町

 全身の運動機能が失われていく筋ジストロフィーを患う男性のために、命を支える人工呼吸器の付属品を、兵庫県加古川市のシステムエンジニア中田成紀(しげき)さん(47)が3Dプリンターを駆使して試作している。筋ジストロフィーの患者は鼻に装着したマスクで呼吸するケースが多いが、男性は人工呼吸器本体と接続して口にくわえるタイプの製品を愛用。その唯一のメーカーが生産を停止し、自作するしかないと考えていたところ、中田さんと出会った。年内の完成を目指している。(笠原次郎)

 男性は、神戸市須磨区の保田広輝さん(29)。4歳で筋ジストロフィーと診断され、小学4年で車いす、中学2年で電動車いすに頼るようになった。自力での呼吸が難しくなった19歳の時、人工呼吸器を使い始めた。

 その当時から、保田さんにとって行動が制限されにくく会話もしやすい、口にくわえるタイプの樹脂製品を使っていたが、メーカーが2018年に生産を停止。筋ジストロフィーの患者は年齢を重ねると、寝たきりになり鼻に着けたマスクで呼吸する人が多いため、採算が見込めなくなったという。保田さんの手元に残った製品はわずかに8個だった。

 保田さんの父親が他のメーカー約10社に製作を打診したが、設計図がなく、発注量も少ないことを理由に断られ続けた。そんな時、入浴介助の女性ヘルパーから、加古川市加古川町寺家町のレンタルスペース「マイスタ加古川」なら、樹脂で立体造形ができる3Dプリンターを個人で使えると聞いた。

 保田さんは今年10月、中田さんが経営する同スペースを両親、ヘルパーと初めて訪れた。現在動かせるのは口と左手の親指だけ。それでも、助けを借りながら自作するつもりで、専門知識が必要な3Dプリンターの使い方を教わり始めた。前向きに生きようとする若者の姿を目にした中田さんが、「力になりたい」と製作を引き受けることにした。

 中田さんは約20年前、抗生物質の副作用で全身に湿疹が出て、医師から「死ぬ寸前だった」と告げられたことがあったという。「生かされた自分には、何か使命があるはずだと考えてきた」と話す。

 保田さんが保管する製品は現在、既に残り3個に減っている。完成のめどが立ち、保田さんの父も「命がつながった」と喜ぶ。

 保田さんは「今後も(鼻に装着する)マスクをせず、(口にくわえるタイプで)人との会話を十分楽しめる。支えてくれる人たちとつながっていられるという喜びがある」と話している。

医療ニュースの新着写真
医療ニュースの最新
もっと見る

天気(1月24日)

  • 11℃
  • 8℃
  • 70%

  • 8℃
  • 6℃
  • 80%

  • 10℃
  • 8℃
  • 70%

  • 11℃
  • 8℃
  • 80%

お知らせ