さまざまな相談者が訪れる近畿調査株式会社の事務所。奥は武健一代表=神戸市中央区江戸町

さまざまな相談者が訪れる近畿調査株式会社の事務所。奥は武健一代表=神戸市中央区江戸町

 パートナーの不倫、従業員の横領…。人に言えない家庭の悩みや、公にしたくない仕事のトラブルを誰に相談しますか。警察や弁護士ではなく、解決のために調査会社を頼る人もいます。いわゆる「探偵事務所」ですが、近寄りがたいイメージもあるかもしれません。神戸の調査会社「近畿調査」を経営し、一般社団法人「日本調査業協会」の理事も務める武健一さん(69)に、その仕事について聞きました。(聞き手・山岸洋介)

 ■県内250社

 -一般の人にはなじみの薄い存在です。

 「調査会社は探偵事務所や興信所とも呼ばれ、業務をするには『探偵業法』に基づく届け出が必要です。全国に約6800社、兵庫県内には約250社あります」

 -どんな依頼を受けているのでしょうか。

 「会社にもよりますが、浮気調査や所在調査、身元調査、企業内の不正調査、家族の素行調査、ストーカーや嫌がらせの加害者特定など、幅広い依頼に対応しています。うちで最も多いのは浮気調査で、全体の半分くらいを占めています」

 ■多様なニーズ

 -さまざまなケースに対応するのですね。

 「所在調査では、音信不通の息子がどこでどう暮らしているのか把握したいとか、何十年も前に駆け落ちで家を飛び出した妹を相続協議のため捜したい、といった事例もありました。素行調査では、進学や就職で家を出た子どもが心配だから、交友関係や立ち回り先を調べてほしいというケースもよくあります」

 「企業からは、従業員が商品を横流ししているとか、交通費をちょろまかしているとか、内部不正の証拠収集を依頼されます。保険会社の依頼で交通事故の負傷者を調べ、保険金の不正請求を明らかにする仕事もあります」

 -時代を映す依頼もありそうですね。

 「盗聴器の発見やいじめ・DVの調査といった案件もあります。離れて暮らす引きこもりの子や認知症の親を見守ってほしい、誰かに狙われている気がするので自宅を遠隔カメラで24時間監視してほしい、DNAや指紋の鑑定をしてほしい、など時代に応じてニーズも多様化しています」

 ■料金システムはさまざま

 -料金はどれくらいかかりますか。

 「調査会社の料金システムや調査内容によって大きく異なります。必要な調査内容に沿って、詳しい見積りを出してもらうことが大切です」

 「かなり大まかに言うと、うちでは浮気調査や素行調査は1日につき平日10万円、休日20万円がだいたいの目安です」

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【武健一(たけ・けんいち)】 1955年生まれ。神戸市出身。78年、父の経営する調査会社に入社し、3年後に代表取締役就任。95年に独立し、後の近畿調査株式会社(神戸市中央区)を設立。2003年に大阪支社(大阪市北区)を開設。一般社団法人「日本調査業協会」の理事、中部・近畿ブロック長を務める。