神戸市内のあるマンション。管理組合の理事会に理事の半数は現れず、理事長を引き受ける人もいない。その結果、今年1月まで通算24年にわたって理事長を務めた男性(82)がこぼす。「危機的状況だった」。マンション管理組合の役員の担い手不足が、全国的な問題になっている。男性に実情を取材した。(斉藤正志)
男性は理事会で、驚きの光景を目にしたことがある。
出席者は自分を入れて4人。
「専門理事」として固定している役員だけで、輪番制の理事は6人全員が来なかった。
欠席理由さえ、知らされていなかった。
ここ数年で、何度かあった事態だという。
男性によると、年4回ある定例理事会では、輪番制の理事の出席が1人か2人だけという状況が続いていた。
男性は「管理組合の活動を面倒くさいと思っているのかもしれない」と話す。
■直近26年で理事長を計23年間
男性が住むマンションは1985年に建築され、27戸がある。
男性は分譲当初から住み、86年に管理組合の理事長を1年間、務めた。
その後、2001~08年の8年連続、11~24年の14年連続を含め、直近26年で計23年間、理事長を務めた。
理事長を通算24年間務め、副理事長を合わせると同28年間担った。
理事の任期は2年。区分所有者の輪番制で、毎年6人のうち3人が交代する。
ところが1990年代後半ごろから、理事が回ってきても、理事会に出席しない区分所有者が増えだしたという。
■苦肉の策
対策として、05年には総会で管理規約を変更し、理事会が成立する定足数を「役員の2分の1」から「3分の1」に引き下げた。