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ボランティアから勉強を教わる中学生。寄付による軽食も用意されている=神戸市内
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 兵庫県西部の中学校。3年の男子生徒は国語、数学、英語の時間中、別室で教諭と向き合う。漢字や計算は小学校低学年レベル。ただ日常会話に問題はなく、非行もない。教諭は「文章を読んで理解する根本でつまずいている」と話す。

 男子生徒の両親は幼い頃に離婚し、母親が早朝から深夜まで働いて家計を支える。生活保護は受けず、教育委員会の判断で学用品費や部活費などが支給される「準要保護」の対象でもない。母子の関係は良好だが、小学生の頃から勉強は苦手。中学校に入ると全く付いて行けなくなった。

 学校では教員をやりくりし、2年前から補充学習を行う。男子生徒も前向きになったが、母親が望む公立高校への進学にはほど遠い。「この先どうしてあげたらいいのか…。正直、道が見えない」。教諭は言葉を絞り出した。

 生活保護世帯などで育ち、学用品費などの援助を受ける兵庫県内の小中学生は2014年度で7万515人(全国7位)。全児童生徒に占める「就学援助率」は15・99%で6人に1人の割合だ。この数字に含まれない「見えない貧困」にあえぐ子どもも少なくない。

 県北部の中学教諭は「基礎学力の不足などで配慮が必要な子はこの10年、クラスで数人から3分の1近くに増えた。昔なら不良っぽい生徒が対象だったが、今は外見では分からない。対応しようにも教員が足りない」と頭を抱える。

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 勉強が苦手な一人親家庭の小中学生に、元教員らが無料で教える神戸市長田区の「WACCA(わっか)塾」。13年10月のスタート以来申し込みが相次ぎ、今は小学生13人、中学生18人が学ぶ。大半は生活保護を受けていない。運営するNPO法人「女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ」の茂木美知子さんは「母親の頑張りである程度の収入があっても、生活は厳しい。塾などで遅れを取り戻す機会もない」と指摘する。

 兵庫県は昨年度から、国の就学支援金に上乗せする私立高校授業料補助を、年収590万円未満程度の世帯に広げた。だが金額や対象者は大阪や京都に比べると少ない。一方で私立高校への運営補助金は1人当たり約34万6千円と近畿で1位。「支援は個人と全体のバランスを重視している」(私学教育課)とする。

 学力不足の子どもを支援しようと、県は国や市町と共に「放課後子ども教室」を展開。ふるさと納税の寄付金で「子ども食堂」も支援するが、需要は高まる一方だ。「学校と民間、行政が連携して、困難を抱えた親や子どもをサポートする体制があれば」と茂木さん。見えない貧困と学力格差との闘いが続く。(広畑千春)

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