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患者宅で診察する豊岡市立森本診療所長の赤丸悟志さん=豊岡市竹野町三原
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 川沿いに棚田が続く道を兵庫県豊岡市立森本診療所(同市竹野町)の所長赤丸悟志さん(55)と看護師が乗った四輪駆動車が走る。20分近くかけて向かう先は田中こうさん(87)の自宅だ。

 同市竹野町で25人ほどの在宅患者を担当。田中さんは脚を2回骨折し、肺塞栓(そくせん)症を患う。寝たきりで介護ヘルパーにも1日3回来てもらう生活だが、それでも「やっぱり家が気楽でいい」と笑顔を見せた。

 厚生労働省は昨年7月、2014年に自宅で最期を迎えた人の割合を市区町村別に公表した。豊岡市は25・6%で、人口5万人以上20万人未満(428自治体)のトップ。全国平均の12・8%を大きく上回った。

 国の調査では「自宅で最期を迎えたい」と望む国民が半数以上。実際は7割が病院で亡くなる。豊岡の人は幸せなのだろうか-。

 同規模の428自治体と65歳以上10万人当たりで比較すると、豊岡で訪問診療を行う診療所数は25位、みとりを行う診療所数は3位に跳ね上がる。在宅療養の環境には恵まれている。

 一方で、入院できるベッド数は360位と下位。ほとんどは発症から間もない患者向けだ。赤丸さんは「特別養護老人ホーム(特養)にも入れず、認知症患者を自宅で老老介護せざるを得ない場合がある」と明かす。

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 在宅死の割合は兵庫県全体でも多く、2015年の都道府県別で3位だ。ただ、特養に申し込んでも入れない待機者(要介護度3以上)も、昨年4月時点で1万4983人と全国の中でも多い。そのうち6895人は自宅で待っている。

 神戸市も、政令市のうち在宅死の割合は1位(18・1%、14年)。同市の担当者は「在宅医療を頑張る医療機関があるのは確かだが、孤独死の数が把握できず分析できない」。市内の特養待機者は、昨年9月時点で3684人に上る。

 高齢化が進む中、在宅医療やみとりへの医療・介護関係者の関心は高い。神戸市で4月に開かれた「在宅医療塾」には約120人が詰め掛けた。主催する同市医師会は「神戸での在宅みとりは特定の医療機関に集中しており、裾野を広げる必要がある」と強調する。

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 団塊の世代が全て75歳以上となる2025年。兵庫県は、入院以外の医療を必要とする1日当たりの人数を、13年より3万人多い8万1千人と見込む。受け皿づくりは急務だ。

 約10年前から在宅医療に取り組む清水メディカルクリニック(明石市)の清水政克副院長(44)は「病院で療養したい人を追い出すのは違うと思う。自宅でも施設でも病院でも、望む形でみとりや療養を選べる県であってほしい」と話す。(森 信弘)

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