兵庫県の告発文書問題をめぐり、斎藤元彦知事が、公益通報者保護法が定める体制整備義務の法解釈について「内部通報に限定されるという考え方もある」と述べた記者会見での発言に対して、公益通報制度を所管する消費者庁が、国の公式見解とは異なると兵庫県に指摘していたことが2日分かった。
同法は、通報者への不利益な取り扱いを防止するなどの体制整備を企業や自治体に義務づけている。この対象について、斎藤知事は3月26日の記者会見で、「3号(外部)通報も含まれるという考え方がある一方で、これは内部通報に限定されるという考え方もある」と述べた。
これを受けて4月8日、消費者庁から兵庫県県政改革課宛てにメールで「(斎藤知事の発言は)公式見解と異なる」と指摘があった。同課によると、メールは体制整備義務の対象に外部への通報が含まれるとした上で、知事や関係部署に法の趣旨の理解と適切な対応を求める内容だった。
同課は「知事、幹部、関係部署で今後、研修などを通じてしっかり認識を共有して対応していく」としている。
告発文書問題では、第三者調査委員会が、告発文書は外部への公益通報に当たり、通報者を探索した斎藤知事らの対応は公益通報者保護法違反とする報告書を3月19日に公表。一方、斎藤知事は、告発文書は公益通報に当たらないと反論し、「対応は適切だった」と従来の主張を繰り返している。消費者庁が指摘した後も「県の考えは会見で述べてきた通り」としている。(井上太郎)