タンクから汚水を吸い上げる バキュームカー=8日午前、明石市藤江
タンクから汚水を吸い上げる バキュームカー=8日午前、明石市藤江

 7日午後9時40分ごろ、明石市藤江の住民から「マンホールから汚水があふれている」と市に通報があった。近くの藤江ポンプ場で汚水ポンプ制御装置2台が故障したのが原因で、約3時間半にわたり周辺の住宅の敷地や道路の7カ所で水があふれた。市は、暑さで装置の電子基板が壊れた可能性が高いとみている。8日午後5時半ごろ復旧した。

 市によると、故障したのは集まった汚水を大久保浄化センター(大久保町八木)へ流すための装置。7日午前1時前に1台目が故障。予備の装置を使っていたが、午後6時40分ごろに2台目も故障した。

 市は施工業者に連絡する一方、バキュームカーを手配し、午後8時40分ごろから同センターへの運搬を始めた。だが、その約1時間後、風呂や洗い物などで水の使用量が増える時間帯に溢水し、8日午前0時過ぎにひいた。

 市は同時刻から、汚水を塩素消毒した上で藤江川に緊急放流。午前4時半からは一帯で高圧洗浄での清掃を始め、その後、消毒をして回った。

 市によると、2台のうち1台は23年夏ごろから調子が悪く、24年3月に交換。もう1台も同7月に取り換えたばかりだった。市内の他のポンプ場5カ所と異なり、装置が屋外に設置されていることなどから、構造的に熱を帯びやすい可能性があるという。市下水道室の担当者は「市民の皆さんには迷惑をかけてしまい申し訳ない。原因はまだはっきりしないが、暑さ対策を考えたい」と話している。

 近くの女性(85)は「家の前の汚水ますのふたが数センチほど浮き、汚水が流れ出ているのが見えて怖かったが、朝になって清掃や消毒をしてもらい安心した」と話した。(森 信弘、谷川直生、新田欧介)