丹波市長選に向けた7月の記者会見。現職の林時彦(70)は、4年前の初当選時に抱いた市役所組織への評価を語った。「職員が萎縮し、物を言えない。ミスが相次ぎ、このままでは駄目だと思った」。前回選の出馬では職場改革が「動機として一番大きかった」とまで言った。
そんな林が着任と同時に職員に求めたのは「まずはあいさつをしよう」。市長室のドアを開け放ち、昼休みには役職や部署を問わないランチ会合を今年8月までに62回開いた。時には得意の卵焼きを振る舞い、部下と交流した。
こうしたてこ入れの前提としたのが、前任の市長と職員の関係。幹部を含む複数の市職員と元職員の証言によると、前回選で林に敗れた前市長は日々の業務で時に激情をあらわにした。「怒って書類を投げ捨てる。あれは良くない」。林に批判的な元職員すらそう口にする。