「花の能」の異名がある、春恒例の「篠山春日能」が11日、国重要文化財の春日神社能舞台(兵庫県丹波篠山市黒岡)で開催された。今年で51回目となる催しで、市内外から集った観光客や能楽愛好家ら約350人が鑑賞。境内の桜は盛りを過ぎていたが、風に舞う花弁が役者に降り注ぎ、舞台上の夢幻の世界と現実とが交錯する一瞬もあった。
能舞台は、幕末に篠山藩主が神社へ奉納。江戸城の能舞台を参考に建てられたという。上演前、実行委員長の中西薫さんは観衆へ、「ひととき、中世にタイムスリップして、能を楽しんで」と呼びかけた。
最初の演目は能「杜若」。「伊勢物語」に描かれた歌人・在原業平の恋や歌が題材で、重要無形文化財保持者(人間国宝)の大槻文蔵さんが、杜若の精を格調高く演じ、謡い舞った。春の陽気の中、能役者のそばを偶然、モンキチョウがひらひらと舞う様子は、美しくも不思議な「天による演出」だった。狂言「清水」では主従のこっけいなやりとりが観客の笑いを呼んだ。
丹波篠山市の会社でインターン中という大学生(21)は能の鑑賞が2度目。「初めてのときは面白さが分からなかった。今回は謡と鼓などの楽器とが調和しているのを感じ取れ、楽しめた」と笑顔だった。(堀井正純)
























