広島大のチームは4日、主にアスベスト(石綿)が原因で起きる「悪性胸膜中皮腫」の新薬の国際的な臨床試験(治験)を2028年ごろに実施する予定だと発表した。「マイクロRNA」という微小な遺伝物質を投与し、がん細胞を老化させる仕組みで、少人数を対象にした初期段階の治験で安全性を確認した。

 悪性胸膜中皮腫は、肺の表面を覆う膜などで生じるがんで、広島大によると国内の患者数は30年ごろをピークに年間約3千人に達する見込み。手術による切除の他に、抗がん剤や免疫療法も使えるが、完治する例はほとんどないという。

 マイクロRNAは、体内で遺伝子の働きを制御する。チームは、さまざまながん細胞の遺伝子に働きかけて老化を促すマイクロRNAを発見。マウスでがんの増殖を抑える効果を確認した。

 初期段階の治験は22~25年に実施。患者9人に1回ずつ投与する試験と患者4人に複数回投与する試験で、いずれも重大な副作用はなかった。

 国際的な治験は、日本の他にオーストラリアや米国からも参加する見込み。31~32年ごろの承認申請を目指す。