パレスチナ自治区ガザで戦闘を繰り広げるイスラエルとイスラム組織ハマスが、4日間の戦闘休止をさらに2日間延長することで合意した。ハマスは人質にしたイスラエル人や外国人の解放を続け、イスラエルも拘束中のパレスチナ人をさらに釈放するとみられる。

 2カ月近くに及ぶ戦闘でガザの死者は1万5千人を超え、その4割以上を子どもが占めている。殺りくを何としても止めねばならない。

 4日間だった先の戦闘休止でも、ガザでは市民を脅かす空爆やミサイル攻撃がやみ、がれきの中に子どもたちの歓声が響いた。

 つかの間の平穏を恒久的な停戦につなげる弾みとしたい。戦闘の再開でなく、武器に頼らない対話の継続にこそ全力を傾けるべきだ。

 今回の戦闘休止は、現地時間の24日午前7時から28日の同時刻まで実施された。この間、ハマスは230人以上とみられる人質のうち女性と子ども50人を段階的に解放すると約束し、イスラエルも拘束するパレスチナ人150人の釈放を表明した。

 世界中が注視する中、ハマスは実際に4回に分けて69人を引き渡し、イスラエル側も計150人を順次釈放した。どちらも言葉を守ったことでこの間、大きな衝突は起きず、ガザにはようやく燃料や食料などの支援物資が運び込まれた。

 ハマスの人質には多くの外国人も含まれ、米国籍の女児や出稼ぎで働いていたタイ人らが解放された。戦闘の激化を憂慮する国際社会の声が両者を動かしたと言える。

 イスラエル国内でも「ハマス壊滅」を掲げるネタニヤフ首相に対し、人質全員の奪還を優先する世論が高まっている。イスラエルの最大の後ろ盾である米国のバイデン大統領も「過度の肩入れ」との国内批判にさらされ、戦闘休止期間の延長を求めていたとされる。

 だがガザの都市機能は既に徹底的に破壊され、行方不明者も7千人に上る。犠牲者を弔い、適切な医療を提供し、生活を再建するには、長い時間と手厚い支援が必要となる。

 とりわけイスラエル軍による地上戦が展開されたガザ北部では、病院も攻撃を受けて機能を喪失するなど深刻な人道危機に陥っている。わずか2日間の期間延長ではほとんど何も手が付かないだろう。

 イスラエルは期間終了後に戦闘を再開する構えだが、ハマスが人質10人を解放するごとに1日ずつ延長するとも明言する。重要なのは目先の駆け引きでなく、多民族、多宗教が共生する未来をどう描くかである。

 冷静な話し合いを可能にする土壌を育むためにも、延長を何度でも重ねて流血を回避することが重要だ。