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 欧州で反移民などの排外主義的な主張を掲げる極右や右派の政党が勢力を伸ばしている。

 広がる経済格差や景気低迷、物価高で生活が苦しいのに、今の政治が有効な手を打てていない-。そうした国民の不満の表れとみていい。将来に希望を持ちにくい厳しい現状が、移民や難民が増えることへの抵抗感を増幅させているのだろう。

 排外主義は差別をあおり、社会の分断を引き起こす。歴史ある既成政党は世論の右傾化にどう対処し、有権者の支持を回復させるのか。鋭く問われている。

 ドイツで9月に行われた地方選挙は世界に衝撃を与えた。ナチス政権への反省から民族主義や人種差別を否定してきた同国において、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進したためだ。

 AfDは東部ザクセン・アンハルト州と北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州の議会で第1党に、首都ベルリン特別市の議会では第3党になった。メルツ首相が党首を務める保守与党、キリスト教民主同盟(CDU)は惨敗した。

 2013年結党のAfDは移民排斥を旗印とし、愛国教育の推進や減税、伝統的家族観の尊重などを公約に据える。メルケル政権下(05~21年)で中東から大勢の難民や移民が流入すると、経済発展が遅れる旧東ドイツを中心に台頭。昨年2月の総選挙で第2党に躍り出た。

 州議選では、障害児と健常児が一緒に学ぶ「インクルーシブ教育」の廃止など多様性を否定する主張を繰り広げた。親ロシアの姿勢も看過できない。ウクライナへの軍事支援停止を訴えている。第1党となった二つの州議会では単独過半数に届かなかったが、他党との連立で政権を握れば国政への影響はさらに増す。

 ドイツとともに欧州連合(EU)をけん引してきたフランスでは、来春の大統領選挙を前に極右政党「国民連合(RN)」の指導者マリーヌ・ルペン氏の人気が高まる。英国では新興右派ポピュリスト政党「リフォームUK」が今年5月の統一地方選挙で最多議席数を獲得した。労働党と保守党の二大政党が衰え、政治の多極化が指摘される。

 欧州で排外主義や極端なポピュリズムがさらに広がれば自由や民主主義、法の支配といった普遍的価値に基づく国際秩序が損なわれかねない。対ロシアなど安全保障面でも懸念材料となろう。

 国民の生活不安に向き合い、格差や難民を生み出す根本課題の解決に粘り強く取り組む姿勢が政治に求められている。日本も決して人ごとではない。多様性を尊重し、社会の分断を防ぐ責務が政治にはある。